フォーマルかカジュアルか、の区別について。


この辺の判断は難しく、

きっちり白黒と二分できるものでなくて

グラデーションのようなものです。


例えば一口に結婚式に参列といっても

一流ホテルの会場に親族としてか。

ガーデンウェディングに友人としてか。

やっぱりちょっと違います。


この辺の判断を今まで、

恥を承知でいうなら「なんとなく、感覚」

でしか捉えていなかったと思い知ったのが

先日の西陣訪問でした。


恐らく人生で一番たくさんの袋帯を

目にしたこの日。


午前に見せて頂いた西陣織大会では

それぞれの帯に番号と

フォーマルあるいはカジュアルの記載が

あるのですが

ここで私は自分の感覚との差に

心底戸惑っていました。


私の感覚ではカジュアルなものに

フォーマルの記載(つまりフォーマル部門で

選考会にエントリーしているという意味)、

またその逆も。


なんとなく、感覚でしか考えてこなかった

私には私自身の物差しがない。

だから自分の印象と逆の記載を見て

私の感覚はこんなにズレているのか、

と驚いて戸惑いました。


会場を辞した後、

先生からのどうだった?の

問いに対しても上記のことしか言えず

先生にも

「あなたがカジュアルと感じるなら

カジュアルな場面に締めればいいのでは?」

と困ったお顔をさせてしまう始末。


何だか自分の底の浅さに戸惑いながら

先日書いた梅垣織物さんへ。

こちらでもまた沢山の帯を

見せていただきました。


午前と違うのは織元さんの

お話を伺いながら見比べられること。


これは黒留袖もいけますね。

こちらは色無地や付け下げに締めて

パーティにいいですよ。

似てるけどこちらは結婚式もいけますね、

柄が正倉院文様だから。


ここでは

ホントだ、なるほど、納得…と

何度も何度も頷きながら拝見。


こちらはこの技法が使われている分

高価ですね。そんなお話もふんだんに

伺うこともできました。


当日はたくさんの事があり過ぎて

飲み込むのに必死で分からなかった感情。


時間を経て気付いたのは

フォーマルからカジュアルの判断に

自信が持てないのは

私に確固たる基準となる知識が

足りないから。

聞けば一応解るけど、

なぜそう思うのかを語る

自分自身の言葉を持たないから。


だから誰かの言葉、

これはカジュアルです、と言われたら

自分の判断にたちまち自信をなくす。


技法の知識もないから

単純に色や柄行きの印象だけで

これ好き!と声に出していうのに

ちょっと躊躇する。

何もわかってない自分が恥ずかしいと

思ってるから。


きものもファッションなのだから

色柄で好き嫌いを語ることは決して

おかしいことじゃないし、

むしろ当たり前の態度。

でも私は自分がそれを語るなら、

そこにあるセオリーも

ちゃんと知って、踏まえ、

そこも込みで飲み込んだ上で

初めて自分の嗜好を語りたい。


だから勉強が必要なんだ。


振り返れば本を読んで色々勉強すると

その都度

織りも、染めも、格も

字と写真だけじゃわかんない。

実物見たいな、触ってみたいな。

何回も身悶えするような気持ちに

なったものです。


2日経って、やっと

そんな私に

先生はその機会を与えてくださったのかと

思い至り、今更な自分の気づきに愕然とする。


きものを着る、着付ける時に

知識は全体のごく一部分かも知れないけど

そこを知らずに一体何が言えるのか。

足元がまるで見えなかった自分に

気付いて、また違う世界が開けた思いです。


やるべきことはまだまだある。

ボンヤリしてられないわと

再び気合の入る夜。



良い写真がない(失敗)。

お天気悪かったのでシルックの飛び柄小紋と

西陣の帯屋捨松の名古屋帯でした。

本当に気に入ってる帯です。