「今上天皇はお言葉の中でも強調していたように、「象徴としての役割」を果たすことに全力を尽くしてきたと思います。ここで言う象徴とは、「国民統合の象徴」を意味します。天皇は何度も沖縄を訪問していますが、それは沖縄が国民統合が最も脆弱化している場所であり、永続敗戦レジームによる国民統合の矛盾を押しつけられた場所だからでしょう。
沖縄の問題ひとつとっても、なぜ今日、国民統合の危機が深刻化しているのかを突き詰めると、特殊な対米従属の問題、つまり戦後の国体がアメリカを頂点にいただくものになったことによる歪みの問題に行き着きます。
天皇はこうした状況全般に対する強い危機感を抱き、この危機を乗り越えるべく闘ってきた。そうした姿に共感と敬意を私は覚えます。天皇が人間として立派なことをやり、考え抜かれた言葉を投げ掛けた。1人の人間がこれだけ頑張っているのに、誰もそれに応えないというのではあまりにも気の毒です。お言葉を否定するならそれも1つの考え方です。しかし、その根拠として挙げられたもののうち、お言葉よりも強力に心を動かすものは、私には見当たらない。」
戦後、象徴天皇としての役割を一人で考え続けてきた今上天皇。
世界でたった一人しか存在しない天皇という名を授けられた人間。ロールモデルとなる先人が存在しない、まさに唯一無二の存在。それでいて、日本国憲法に定められている以上、公に政治的な発言をすることは許されておらず。
今回のお二人の対談を読んで、改めて2年前に出された「お言葉」を読み直しました。
白井さんがおっしゃっているように、そこには確かに天皇陛下の「烈しさ」が表れていると自分も感じることができました。
その部分を「お言葉」の中から引用したいと思います。
「私が天皇の位についてから,ほぼ28年,この
ちょうどいま天皇皇后両陛下は北海道の利尻島を訪問されております。
障害者の方たちが協力して農作物を生産・出荷されている場所などを訪問されたというニュース映像を見て、「あぁ、天皇皇后両陛下はほんとうにさまざまな人たちのことを思っていてくださるのだな」と安心感を得ることができました。