ようやく三ヶ月にわたる通し狂言"仮名手本忠臣蔵"もラストの月を迎えました
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全十一場を三ヶ月に分けて観るのも
意外と大変で
今月は他に結構観たい演目が多かったのもあって途中断念しそうになりましたが
本日、無事に見納めることが出来ました

観に行った自分、(*´∇`*)オツカレサマー


前にも記事にしたかも知れませんが
この「仮名手本忠臣蔵」は、"赤穂事件"を元に作られたフィクションです

作られた当時、そのまま芝居にすれば幕府からお咎めがあるので、江戸時代から足利時代に置き換え、さらに高家筆頭であった吉良上野介を"高師直(こうのもろのう)"、また塩の名産地"赤穂"の大名 浅野内匠頭を"塩冶判官(えんやはんがん)"、浅野家の家老大石内蔵助を"大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)"と名前を改めて上演しました。

事の発端は
幕府ナンバー2の権力者"高師直"が、塩冶判官の妻に横恋慕したあげく、振られた腹いせに判官に難癖つけます。
癇癪持ちだった判官は殿中で師直を切り付けますが、ここで喧嘩両成敗とはならず、結局判官は切腹させられるのです。
「仇を討ってくれ」と最期に大星由良之助に告げ、「打倒!高師直」と立ち上がる家臣たち四十七士のお話しです。

さてさて
今回は
本蔵の奥さん戸無瀬とその娘 小浪が
許嫁である大星力弥のところへ行く道中(道行旅路の嫁入)の場面からです。

高師直は本当に嫌な奴で
最初は塩冶判官ではなく、桃井若狭之助をいびっていました。
しかし、それを桃井家の家臣である加古川本蔵が気付き、師直に賄賂を贈ったためにイジメの標的が若狭之助から判官へと移ったのです。
さらには判官がキレて師直に切りかかった際に判官を抱き留めたせいで殺せずに残念な結果になってしまいました。
つまりは塩冶家にとって本蔵は憎い人物なのです。
その娘の小浪と大星由良之助の息子 力弥は許嫁でしたが、その一件があって以来両家は疎遠に…

そりゃそうです
ホントだったらそっちの家族が露頭に迷っていたはずなのに。(という謎の大星目線。

娘の小浪は想いを断ち切ることが出来ず
そこで母が娘の気持ちを汲み取り、大星が住んでいる山科へと旅に出る(直談判っていうか押し掛け女房しに行く?)というのが第八場の舞踊劇。

その母親は継母で実は本当の親子ではないものの
娘の気持ちをそこまで考えてくれるなんて!!
シンデレラの継母なんて酷いじゃん、この継母凄い!と思いながら眺めていました。

(途中で夫婦の契り方も伝授するのはやり過ぎ感はあったけど)

実の母親以上に娘思いなのは、血の繋がりがない継母だから、その穴を埋めるために必死だったのかも知れないな…とちょっぴり自身の実母と比べて羨ましくも思うのでした。結構放置気味なんで

まぁ
事の発端になった人物の娘、
さらに
仇討ちのために討ち入りをすれば
最後は切腹しなければならず
結ばれたとしても結局はすぐに別れる運命にある二人…それを承知している大星由良之助の妻、お石は猛烈に反対しますが結局は加古川家の熱意に絆され、由良之助から一夜 夫婦になる(山科閑居の場)のを許されます。
そこが何ともヅカヲタ的にはベルばらの今宵一夜を彷彿とさせて
実はここの場面がお気に入りになったというね(沼脳。

シトワイヤン!行こうーーー!!(違。

その後は
そこそこツッコミどころの多い天川屋義平内の場。
よくある討ち入りの場。
そしてお焼香の場面と続くのですが
お焼香は本物を使うのが定番で
今回は上手側の端の方だったので
難を逃れました。
臨場感を出す演出らしいけれど
実はお焼香の香りが苦手なのと
気管支炎持ちなのでʬʬʬ

あれ、煽ってたら絶対咳き込む自信ある

おしまいは
本懐を果たし、今や義士となった面々が
師直の首を亡君の菩提寺に供えるために
花水橋を渡っている最中に
若狭之助が声を掛けるシーン。

突如、知らないオッサン出てきただれ??

と思っていたら、初めにいびられてた方の藩主か…とイヤホンガイドで気付いたという…ちょっと影うすいし、それも最初しか出てないし、三ヶ月前だから…

その前の奥庭泉水の場で
濃い尾上松緑(小林平八郎役)のすんごい立ち回りを観たからか、最後はずいぶんひっそりしてるなー
と余計に感じてしまったのでした。

それがこの演目のいいところなのかも知れないけれど。
終わり方がめでたいような…かといって少し寂しいような…不思議なバランス
こういうのがこの季節の心情に合っているのかな?

通しで観ていなかったら
なんだこの終わり方
と思ったような気もするので
三ヶ月頑張って通った甲斐があったなと思いました。

今回は国立劇場の50周年記念興行ということで
全編通しで上演されましたが
次回からはおそらく場面場面でしか観られないでしょう。
でも全部知ったから感動もまた今までとは違っているはず!
次回歌舞伎座でかかった時がまた楽しみになったショウコなのでした。