残りの手続きを言われるがままに済ませて、

ようやく家に帰れることになりました。


落とし物係の宮本さんも、「手続き手続き」と何度も言っていたけれど、本当は仕事ができる、とても優しい方でした。


私の落ち度でメイプルを逃してしまったのに、

宮本さんは高橋さんに「本当にありがとうございます」と、私と一緒にお礼を言ってくれたのです。


誰もいなくなった警察署で宮本さんにお礼を伝え、

私とメイプルは家路につきました。


家に着くと、張り詰めていた緊張の糸が切れたように、どっと疲れが押し寄せてきました。


メイプルをカゴから出そうと扉を開けると、

ヒョコっと顔を出したメイプルはキョロキョロと周りを見渡していました。


「ここはどこ?」


そんなふうに戸惑っているように見えました。


それからすぐに、息子の顔の近くに飛んで行きました。



しばらくずっとそこから離れず、やっぱり息子に会えたのが嬉しいんだなあと思いました。


私に対しては特に何もありませんでした。(泣)

(毎日世話してるのは私なのに。でも逃してしまったのも私。)


体重はやはり減っていました。

ご飯はもらっていたはずですが、それでもメイプルにとっては過酷な五日間だったのだと思います。


高橋さんからそのまま渡された鳥カゴの中には、

外で拾ってきたらしい木の枝が2本、止まり木として設置されていました。


それを見て私は、

「もしかしたら高橋さんは、そのままメイプルを飼うつもりでいてくれたのではないか」

と思いました。


本当のところは分からないけど

その止まり木を見ていると

高橋さんの優しさが伝わってきました。




その後の私は、寝不足で完全に力尽きました。


息子の塾の送り迎えをなんとかこなし、

帰宅した夫に夕飯を作ってもらい、食べるとすぐに眠ってしまいました。

お風呂は入ったかどうかも覚えてません。


こうして長い一日が終わりました。 


私にとっては、まるで奇跡のような一日でした。