あなたとあたしの間には厚さ1cmの壁がある。
一点の濁りも汚れも偽りもない純粋で透明なガラスの壁。


だからあなたが今何をしているかなんてガラスの向こうを見ればわかる。
あたしの女の子してる姿だって見てもらえる。
話したいときは話すことだってできる。
ガラス越しに手を合わせると、時間とともにあなたの温度がゆっくりと伝わってくる。


残念なことは、このガラスの壁、大きくて丈夫すぎるんだ。
どんな事したって壊れない。
例えば釘で打ったって傷が付かない。
ハンマーで叩いたって割れない。
思いっきりぶつかっても倒れない。
大きすぎて高すぎて、
飛び越えることもできないし、端が見えない横幅だから遠回りすらできない。


でも目の前にあなたがいる事実。


あっ。今笑った。
楽しそうなあなた。
それを見て幸せなあたし。


うん、苦しそうな目をした。
仕事で疲れたの?
あたし癒してあげたいよ。


幸せでも切なくても、どんなタイミングでもこの1cmが邪魔をする。
会いたいときに会えるのに、
話したいときに話せるのに、
温もりも幸せも悲しみも、あなたとだから感じれるのに、
手を繋げれない。
ぎゅって抱けない。
キスができない。
一つになれない。
縮まらない1cm。


時々湿度が高すぎてガラスが曇るからぼやけて見える。
時々太陽の日差しが強くてガラスに反射するから目がくらむ。
時々雨の降る量が多すぎてガラスに強く打つから向こう側が歪む。


でもどんな時だって乗り越えれた些細な苦難。
今乗り越えたいのはこの大きな苦難。


一点の濁りも汚れも偽りもない純粋で透明なガラスの壁は、
あたしのあなたへの愛の様。
あなたのあたしへの心の様。




覚えていますか?
この1cmがなかった頃を。