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おじいさんへ

お元気ですか?おじいさん。
こっちは少しむし暑くて大変ですが、私は元気です。
こうやっておじいさんに手紙を書くのは初めてだから、
少し照れくさいけど聞いてね。




私がおじいさんと一緒に生活してきた中で一番古い記憶は私が2歳の時でした。
おじいさんがあぐらをかいた時に上に座るのが大好きで、
いつもおじいさんの体温を感じていました。
大きくてあったかくてすごく落ち着ける、
おじいさんにしかない体温でした。
時々肩をもんであげるとすごく喜んでくれて、
「次もまた頼むな」という言葉がとても嬉しかったです。




小学生の時は、スポーツが好きだった私をいつも応援してくれたよね。
陸上や水泳の大会には必ず応援に来てくれて、
その度に「うちの和子は運動が得意なんだ」と
自慢気に話していたのを思い出します。
おじいさんが支えてくれたから頑張れたこと、
今では大きな自慢です。




おじいさんは気が付けばいつも働いていて、
私が中学校、高校に入ってからはあまり話す機会もなくなってしまって、
けど、小さい頃感じた変わらないあたたかさと大きさが、
ずっと私の心の支えでした。
なのに、今更その存在の大きさに気付いてごめんね。




おじいさん、
そっちの世界も今は夏ですか?
暑いから水分まめに摂って、休むときにしっかり休まなきゃだめだからね。

花火をした夏。
散歩をした秋。
かやきを食べた冬。
走る楽しさを教えてくれた春。

私は、
迎える一つ一つの季節をおじいさんと共に感じる事ができて幸せです。
時間や日付、天候や出来事、
もしかすると一緒に感じた風のあたたかさや虫の鳴き声すらも心に深く刻まれて、
幸せだったおじいさんとの時を、
その度に静かにゆっくりと思い出す事でしょう。
その時は、おじいさんの体調を心配してみたりして、
私が感じたおじいさんのあたたかさを、
今更だけど、今度は私がおじいさんに感じさせてあげれたらいいなと思います。
もちろん、
おじいさんだけでなく、家族や友達、同僚や音楽仲間にもね。
わがままだけど遠い所で見守っていてね。




おじいさんに聞いてもらいたかったこと、もっとたくさんあるのに、
うまく言葉にできなくて、
どう表現したらいいかわからないけど、

おじいさん、

出会えてくれてありがとね。
ずっと繋がっていてくれてありがとね。
最後まで支えてくれてありがとね。
私のおじいさんでいてくれてありがとね。

何度ありがとう言っても言い切れないくらいとても感謝です。

本当に今までありがとう。




おじいさん、大好きだよ。
和子より。




七月二十日、午前三時五十三分に祖父が永眠いたしました。
ここに生前の御交誼に深謝すると共に謹んで御通知申し上げます。