「やるべきことをやったうえで相手に上回られた」と奈良 [東レPPOテニス]

THE TENNIS DAILY 9月16日(火)22時44分配信

「やるべきことをやったうえで相手に上回られた」と奈良 [東レPPOテニス]

日本人で唯一本戦ストレートインを果たした奈良くるみだったが、初戦突破はならず (撮影◎井出秀人/テニスマガジン)

 9月15日から21日まで、東京・有明テニスの森で開催されている「東レ パン・パシフィックオープンテニス」(プレミア/ハード/100万ドル)。

奈良くるみは第8シードのスアレス ナバロに敗れ、初戦突破ならず [東レPPO]

 今年で22歳の奈良くるみ(安藤証券)。今季はリオデジャネイロの大会でツアー初優勝を果たすなどの活躍を見せたおかげで、現在のランキングは36位まで上昇。全米オープンでは第31シードが付き、グランドスラムでは初めてシード選手としてプレーした。

 同時期で比較すれば、杉山愛が22歳だったのは1997年で、この時点ですでにツアーで4勝を重ねており、年間最終ランキングは20位。当時の彼女はクルム伊達公子(エステティックTBC)が最初の引退をした直後の日本女子を牽引する存在として期待され、気負いの中でのプレーが続いていた時期でもあったが、同時にプロとしての自覚が強くなり、のちに長く彼女を支え続けることになる「チーム愛」を結成した年でもあった。

 また、クルム伊達(当時は伊達公子)が22歳だったのは1992年のことで、全仏オープンで初めてシード選手となり、4回戦に進出。そのほかのグランドスラムでも全て1回戦を突破し、最終ランキングは21位。ジャパン・オープンでツアー初優勝を挙げたシーズンだった。

 プロデビューと同時に一気に100位を切るかというような勢いで活躍し、そのあと故障などの影響で低迷する時期があったため、奈良はやや遠回りをしているような印象を受けているファンも中にはいるかもしれないが、クルム伊達や杉山と比較しても、決してスローペースではなく、また、ツアーの中堅層のレベルが当時と現在とで比較すると、かなり上昇していることまでを考慮すれば、むしろ順調にきていると言ってもいい。

 大会2日目に奈良が1回戦を戦ったのは、第8シードのカルラ・スアレス ナバロ(スペイン)。現在は世界19位で26歳。今季4月のオエイラスの大会でツアー初優勝を果たしたばかりだが、グランドスラムでは全仏で2度ベスト8に進出し、全米と全豪でもベスト8進出の経験を持つ片手打ちバックハンドの本格派のストローカーだ。162cmとツアーの中ではかなり小柄な選手とはいえ、全身がしっかりと鍛え上げられていてどんな選手相手でも打ち負けないパワーを持っている。一発でポイントを取るような武器はないが、相手に簡単にウィナーを取らせない機動力と、不利な展開を振り出しに戻す修正力、甘いボールに対しては鋭い角度をつけてウィナーを取っていくカウンター能力は極めて高い。端的に言えば、いわゆる難敵タイプだ。

「自分がやらなければいけなかったことを、やりきった上で相手に上回られた」と奈良は言う。十分に警戒し、自分でも参考にしているとも話していたフォアは、「思っていた以上にすごかった。こっちが角度をつけていっても、それ以上に角度を付け返された」と奈良は振り返り、「コートの中への動きも速く、最初はどうなることかと思った」と続けている。

 スコアから言えば、奈良から1-6 6-2 2-6での敗退。だが奈良は「第2セットを取り返せたのが大きい」と話している。

 第2セットは奈良が最初のゲームをブレークして先行。第4ゲームでブレークバックされてイーブンに戻されたが、第5ゲームで再びスアレス ナバロのサービスを破った奈良は、第7ゲームでもう一度ブレークを追加した。スアレス ナバロの守備力に手こずりながらも、積極的にベースラインの内側に入ってボールを左右にはたいてウィナーを奪い、スアレス ナバロの守備を崩してのセット奪取だった。

「大事なポイントで自分のパターンに持っていけるようにすること」と今後の課題について奈良は話していたが、今の奈良はまだ、自分テニスを相手に押し付けて戦うための手札が少なく、どうしても相手次第の展開になってしまうことが多い。

 かなり改善されてきてはいるものの、まだまだ大きな課題として残っているのが、フォアの高い打点を抑え込みきれないこと。以前はここがハッキリ弱点だったが、今の彼女はここからウィナーを奪うこともできるようになっている。しかし、やはりもう少しだけ精度を高めたい。奈良のフォアに浮かせたら危険だと相手に認識させるレベルで安定してコートに収められるようになれば、使える展開のバリエーションも大きく広がるだろう。

「負けても"いい試合"を積み重ねていくことが今の自分には大事」だと奈良は言う。その時点での自分の何が通用して、何が通用しないのかの見極めは、自分で納得できるプレーをした上でなければわからないという意味だろう。その意味で、彼女の目から見たこの試合は結果以上に収穫の多いものだったようだ。

 本当に強くなる選手はこの先の1、2年で大きく化ける。今後の奈良がどんな成長を見せるのか。この試合がある種のキッカケになっていることを祈りたい。

(TennisMagazine/ライター◎浅岡隆太)


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