{4777C052-7408-4587-B52F-EA372FA5C9E9}
 
深夜2時、ファミリーレストラン『シュガーズ』おれらはいつもそこで溜まっていた。
「あー。暇だ」
「暇だねぇ」
「シゲ、塩とってー」
「お前それ合わねぇって」
 ミヤはコーヒーゼリーに塩をかけて食べるクセがある。性格とともにクセがある。
「ソフトクリームにだって塩をかけるお店があるのよ。いわば塩は最強の調味料なの」
「塩が最強という持論は分からないでもないよ、でもコーヒーゼリーにはどうかなって僕は思うね。はい」
 キヨが塩を渡すと、案の定ミヤは大量の塩をコーヒーゼリーにかけた。キャラか、キャラなのか、塩だいすきキャラとしてデビューを図っているのか。ただただ、ちょっとクセのあるだけの一般人な彼女が。
 ミヤはコーヒーの死海と化したそれを口に運んでは「おいしい」と惚れ惚れした顔をしていた。それをみた隣の女子2人がドン引きしているのが横目で見えた。
「そういえばさ」と、キヨ。
「なんだよ」
「クラスメイトの蔵家に彼女ができたらしい」
「へー!どんな人なの?蔵家くんって」
 ミヤは彼女の方ではなく、クラスメイト蔵家の方に興味があるらしい。
「どんなって…、イケメンだよね」
「んー、イケメンだなぁ」
「他には?内面とか」
「人当たりもいいし、人に好かれてる」
「好かれてんなぁ」
「ほうほーう。いいわねぇ」
 ミヤえらいご満悦なようだ。確かに蔵家は面白いし、趣味も多くて色々なジャンルの人と仲がいい。基本的に人から嫌われることはない完璧に近い存在だ。
 ただ。
「ただ、だな。」
「ん?ただ、なに?」
「うん、ただ、な」
「なによ2人して」
 急に不安な顔をしてミヤは焦り出す。蔵家に対して感情が揺らぎすぎじゃあないかこいつは。
「女癖がすこぶる悪いんだ」
「なに?」
 急に声のトーンを落としたミヤの声は般若のなりかけのような形相をしていた。
「前の子だって別れてないだろ、多分」
「そうだよね。ミカゲちゃんだっけ?」
「そうそう、そんな名前」
「二股だね完全に」
「かわいそうになぁ」
「ま、付き合う子も付き合う子だよね」
「だいたいみんな知ってるしな、あいつの女癖の悪さはさ」
「そうそう、尻軽だよ次の彼女さんだってさ」
「…っざけんな」
「え?」
 ミヤがぷるぷると体を震わせていた。そして、般若のなりかけの顔は完全に般若を超えて鬼となっていた。
「ふざけんな!蔵家ぇぇぇえ!あの野郎、騙しやがったな!!!ちくしょう噂は知ってたけどやっぱり他に女いやがったな!おかげで、おかげで尻軽扱いじゃねぇかぁぁぁあ!!」
「お、落ち着けってミヤ。まさか、え?」
「新しい彼女って…」
「あたしだよ!!」
「にしおかか!てめぇは!」
 そんなこんなで、久しぶりのミヤの恋は終わった。
 こいつの恋愛はいつも、残念だ。性格とともに。