移動中の話。
車両の一番隅のシートに座っていたワタシ。
隣が空いていて、園児(女の子)を連れた
母親がそのシートに座り、そしてすぐに目を瞑った。
女の子は車両と車両を仕切るドア付近に立っていた。
しばらくすると電車が傾斜し、そのドアが静かに開いた。
次の瞬間、目を瞑っていた母親がぱっと目を開いて
険しい表情で女の子に向かって何かを話し始めた。
母親は、女の子が勝手にドアを開けたんだと
勘違いしている風だった。
女の子は黙って母親を見ていたけど
ショックを受けてる表情をしていた。
でも、「あけたのは自分じゃない」と
言わせない雰囲気で。
ああ、この親子は普段から
こうなんだろうなという印象を受けた。
で、ここからが切ない。
言うだけ言って再び眠りにつく母親の隣で
女の子は立ったままずっとドアをおさえてた。
小さい手でずっと。30分くらい。
声かけようか悩んだ。
でも結局はかけられずに見ているだけだった。
というのも、ここで
「おさえてなくていいよ」とか
席替わってあげたりなんかすると
その場はいいかもしれないけど
こういう母親の場合
あとでよくわからない理由をつけて
彼女を叱るんだろうなと思うと行動できなかった。
母親は元々美人だったんだろうなという感じ。
すごく華奢で、飾り気もなく、全体的に疲れている風。
育児は生易しいものではないし
疲れてると苛つくこともあるけど
自分の発言がこどもにどのくらいのインパクトがあるのかは
自覚して言葉を選びたい。
何気ないひとことが、こどもにとって「呪い」になることもある。
自分を過小評価するようになり、伸びるものも伸びなくなる。
親子とは同じ駅で下車した。
人混みの中、母親は女の子の手をつながず歩く。
その後ろを女の子がついていく。
その隣をこどもの手をしっかり握って
こどもの顔を見ながら笑顔で会話する親子が歩く。
