Silver / 銀
元素記号 Ag
古来より希少な金属として扱われ、金と共に硬貨や装飾として使用されてきた金属。
電気伝導率と熱伝導率は金属中で最大である。
金やプラチナとは異なり原子的に安定していない。
(化学変化を起こしやすく、すぐに変色する。 )
可視光線の反射率が非常に高く、研磨することによって
全ての金属の中で 最も強い輝き を放つことができる。
前回
の続きです。
銀業界の重鎮、Guillaume Pajolec / ギローム・パジョレック。
クロムハーツ、ガボール、BWL、A&G等のブランドをデザイナー・技術屋として渡り歩いた彼はその後、A&Gで魅せたバイカー色の強いデザインを基調とした American Rider/アメリカンライダー。
Brandon SCHOOLHOUSE/ブランドン・スクールハウスをパートナーに、ハリウッドのサブカルチャーをモチーフとした HAN CHOLO/ハンチョロ 等を手がける事になります。
(ハンチョロの公式サイトはコチラ
。最高にcoolです。)
向かって一番左がギローム氏
その一方で過去には、GABORのハッピースカルをトラヴィス・ワーカーと共にアレンジをし
こんなアイテムも製作したり。
そんな様々な製作活動、アートワークを繰り広げていた彼の中でも最も強烈な印象を与えたのが1999年に発表をした LP LUCIEN P. /LPルシアンP.だと思います。
フランス語で輝きを意味する LUCIEN。
それまでは ゴシック色が強く、アウトローの世界を表現していた銀業界において、全く異なる方向性を指し示した ルシアンの登場は衝撃を与えました。
銀の光沢面を強調し、銀モノとしてのボリュームを残しつつも、まるでハイジュエリーのような煌びやかな作品群。40年代を意識したというモダンなデザイン。
しかしそれは「変色しやすい銀というマテリアルで作るべき物なのか?」という疑問や
ルシアンは大変高価な価格であった為、“彫ってなんぼ”の風潮 があった業界においては批判的な意見も少なからずありました。
ギローム自身も「ルシアンは新しい試みである。これがすぐに評価されるとは思っていないが、千年、二千年後の人たちにも身に着けてもらえるような、時を超えた永遠の美しさを持つジュエリーを目指している」と語っています。
このルシアンという名はギロームの愛息の名前でもあります。
これからも分かる通り、ギロームの様々なキャリアの中でも最も大切な物である事は間違いありません。
コチラはその昔、僕が愛用していたルシアンのネックレスです。
これは知人に譲った(というか奪われた)品なのですが、今回の記事を書くにあたって無理を言って写真を送って頂きました。
無駄な装飾を省いた文字通りモダンでバランス感に溢れたデザイン。
それでありながら銀としての重量感と輝きを兼ね備えています。
数年ぶりにみるこのチェーンはやはり最高です。
そして、もう何年も経っているのに、今でも当たり前のように愛用してくれている知人に感激です。
そして、このパーツを使用したアイテムがこちら。
当たり前のようで、他には中々無い覆輪留めのピアスです。
石はアメシスト(amethyst・アメジスト)。
古来より高貴な色として称えられてきた紫の水晶です。
またこの名前は、ギリシャ語で「酒」を意味する「methy」から来ています。
それに否定辞の「a」がつき、「悪酔いしない」→「お酒を楽しめる」石として伝わっています。
こんな
ルシアンと僕との出会いは意外な場所でした。
シンプルでボリュームのあるリングを探していた2000年当時。
それに正にぴったりなルシアンの発表を知り大変気になっていた僕jは、とある雑誌で自宅近くのDr.monroe / ドクターモンロー に取り扱いがある事を知りました。(同時期に名古屋パルコのブエナビスタでも取扱いを始めました。)
今でこそ、名古屋の中心地栄や東京の青山に店を構えるまでに成長したドクターモンローですが、当時は名古屋の住宅街、八事の路地の小さなアトリエ兼店舗で運営をしていました。
店に入るや否や正面にはルシアンのショーケース。
その中に鎮座する今まで見たことのないような輝きを放つシルバージュエリーに僕は目を奪われました。
しかしながら・・・このルシアン。
前述したとおり非常に高価なんです。
当時の僕には中々手を出すことが出来ませんでした。
この時、某有名ブランドの公式のリペア等も行なっていたドクターモンロー。
その腕は日本でも有数ですし、鏡面加工にあたっては最高の輝きの作品を生み出していました。
そこで僕はドクターモンローでこんなアイテムを製作してもらう事にしました。
十数年が経過し、表面は傷だらけですが、今でもあの絹のような艶やかさや質感はしっかりと残っています。
これが表面加工の面白いところです。
シンプルなリング程、そこには幅、厚み、曲線等のセンスが要求されます。
デザイナーの伊藤さんは自らの仕事を「何度も何度も繰り返し同じ円を描いていくようなもの」と語っています。
これは正にそんなリング、そして僕の中でもある種究極の形でした。
しかしそれとは別に、あの時心に想った“ルシアンのリングへの憧れ”はずっと残ったままでした。
そしてこの度・・
念願叶い僕の元にやってきたリングがこちらです。
LP LUCIEN P.
925×18K リング
指を飾る指輪として原点に返ったような絶妙のボリューム感。曲線の美しさ。
正に究極のリングです。
ここに天才ギロームのセンスが集約されています。
表面はまるで鏡のように磨かれ、それは光を跳ね返す輝きと共に、触れれば水分を含んでいるかのような滑りを帯びています。
リングには18Kの丸模様が一周施され、落ち着いたラグジュアリー感を演出してくれます。
磨く事で金属の中で最も強い輝きを放つ銀の醍醐味を十二分に味わえる逸品。
それと同時に銀である以上は傷も付きますし、変色もしていきます。
しかし今思えば、これこそがギロームが意図したモノのような気がします。
一寸の曇りもない鏡面に自分だけの傷や味をつけていく事がどれほど贅沢な事か。
数年後にリングを見た時、リングに着いている傷や味は全て自分の歴史でもあるんです。
そして最後はどんな形になるのか。
銀は全くと言っていいほど磨かない僕ですが、このリングは適度に磨きながら、そんな過程を楽しんでいこうと思います。
そしてこちらは 更に大ぶりなリング。
GABORやBWLをはじめとする数々のボリュームのあるリングを見てきましたが、厚み&重みで言えばこのリングが圧倒的です。
そして二つのリングに共通して言える事ですが、地金が通常の銀よりも黄色味を帯びています。
このリングの内側は指に馴染むようにしっかりと丸みを持たせてあります。(内甲丸)
これだけ大ぶりなリングにも関わらず、その加工により指に吸い付くような着け心地を実現しています。
こんなボリュームのリングは一見男性用のように見えますが、実はこんなリングこそが女性の美しさを引き立ててくれるんです。
本物のジュエリーは教えてくれます。
「持つべき人が着用した時がこそが完成形」と。
どうも最近、昔の物に惹かれる事が多いです。
「回顧主義」なんて言葉は嫌いなはずですが、自分の歴史の中で銀モノという物を知り、それに最も夢中になった時代に出合った物はやはり特別です。
周りとか流行りとかブランドの体制なんてもんはどうでも良いんです。
自分が知らない時代の物を漁る気もありません。
大切なのは「自分」です。そして五感で実際に感じた物です。
世紀を超え僕のところにやって来てくれた憧れのブランド LP LUCIEN P.
一寸の曇りも無い最高の輝きを放つこの銀幕の中に
これからたくさんの物語を 描いて行きたいと思います。