秘密の扉-儀軌殺人事件

 

2014年SBSの月火ドラマ、全24話

最高視聴率10.0%(AGBニールセンによる)

 

 

2017年にたぶんBSフジで視聴。

 

 

サブタイトルを見ると殺人事件を扱ったドラマに感じますが、殺人事件に関しては中盤ごろに終わります。

この件が発端となった父と子の考え方の違いが、色々な勢力が関わりながら広がってしまい取り返しのつかないことになっていきます。

 



このドラマ、序盤がちょっと取っ付きにくいというか…分かりにくくて…。録画して見ていたので、途中で見直したりしました。ただこの部分を克服すると、かなり起伏のある物語りです。

 




映像も美しく、繊細でありながらも美しく、それでいて迫力もあり、ドラマの雰囲気にもとても合っています。

 



 

派閥や立場の違う人々の攻防戦。

政治的な駆け引きにおいては「そうくるか!!」と膝を打ちたくなる程、ホント見応えアリ!でした。

またベテラン俳優さん達が演じているので相乗効果でなおさら見応えありました。

 

 

 


 

惠慶宮ホン氏

この時代にはよく出てくる方で、このドラマでも重要な人物ですが、彼女の描き方が良かったんですよ~。

朝鮮王朝時代の史劇に出てくる女性って割と鬱陶しい人も多いのですが、このドラマの彼女は全く違います。

全体を見渡せる目を持ち、政治的な駆け引きもしつつ、最善と思えば冷徹な選択もできる女性です。

パク・ウンビンさんが安定した演技力で演じていて、魅力的なキャラがより際だったと思います。

こういうドラマにありがちな女の争いがほとんど出てこないのも良かったですね~。

惠慶宮ホン氏と英祖の寵愛を受けているムン氏と多少は諍いはあるものの、思悼世子の廃位から死に至らしめるのも彼女を中心には描かれてません。

またジダムに対しても嫉妬は感じているものの、おもてに表すことなく、嫉妬で判断を狂わすこともなく常に冷静に対処しています。

 

 



 

ヒロインのジダムなのですが、視聴した多くの人が思うことだと思うのですが、役者がユン・ソヒさんに変わってからはイマイチでしたよね…。前半のキム・ユジョンさんの時はキラキラとした存在だったのに。

あんな目にあえば、そんな風に変わってしまうのも仕方がないかな…とは思うのですが、なんか女官の1人にしか見えないような存在になってしまって…このキャラクターいる意味あんのかな…って。

ユン・ソヒさんの演技力以前に、このジダムというキャラクターをどう描きかったのか分からないです。

 

 

 


 

老論派に翻弄される英祖と世子

後半、英祖は度々「王ではなく両班や民であったら父子関係は違ったはずだ」と嘆くのですが、老論派からの圧力がなければ、英祖は世子が世の中を変えようとする気持ちを誇らしく思えたのでしょうか?

 

確かにそう思うであろう英祖の台詞ですが、私には英祖がそこまで懐が深い人物には見えなかったんですよね…残念ながら。

 

そしてネックになっているのはロミオとジュリエットのように主人公の悲劇の結末がわかっていることですよね…。

英祖と世子、この2人が途中何度も和解するのですが、見ているワタシは「でも米櫃なんだよね…」と、その度に思ってしまうわけなんですよ。

どうしても暗い気持ちになるし…話しが進めば進むほどシンドイし…希望はなくなっていくし…段々と陰鬱な気持ちになるし。

 

 

 



 

剣契(コムゲ)東方の頭目のナ・チョルジュと少論派のパク・ムンス

この2人の信頼関係というか友情というか、2人の関係が個人的には好きでした。

チョルジュをキム・ミンジュン氏、ムンスをイ・ウォンジョン氏が演じているのですが、2人とも本当にステキに演じてくれてました。

 

13話でチョルジュとジダムが逃亡するところにムンスがお別れを言いに来てくれて、追手の役人を体を張って引き止めてくれるんです。

その後、ムンスは流刑になり英祖に手紙を送った後、流刑先で静かに亡くなります。

この一連のシーンは、このドラマの中でワタシの中では一二を争う印象深いシーンです。

イ・ウォンジョン氏、こういう役をさせるとホントにステキに演じるので、ワタクシも本気でホロリとをさせられます。

 

 

 

 

 


 

さて、タイトルの「秘密の扉」って何だったんでしょうか。

たぶん2つあって、1つは[連判状]ですよね。このドラマでは景宗毒殺説をとっていて、のちの英祖が老論派の計画に無理矢理引きずり込まれるという設定になっています。連判状は、その時の英祖の即位に関係し、そして民に知られてはならない。

 

もう1つはソンが東宮内に作った隠し部屋。

ソンは身分格差を正当化し保身に走る父王や重臣たちに反発して、平等な世という理想を掲げて東宮内に隠し部屋を作ります。

 

その2つの「秘密の扉」を開けてしまったがために起こってしまった悲劇ではないかと思います。

 

 

 


 

ミン・ベクサンは不器用で愚直にしか生きられない息子を憂い、その息子の命だけは助けて欲しいと遺書を残し自害します。

老論派という対立する側でありながら世子の理想に共感してしまう。

そんなミン・ベクサンの「意見が対立し激しい葛藤が生じる場、それを何としても仲裁しようとする場、それこそが政治のあるべき姿だ」の言葉がとても印象に残りました。

 

 

 


 

ラブストーリー、ナシ。

サイドストーリーもナシ。

英祖と世子ソンの親子の葛藤、父子の確執、それでも断ち切れない情をミン大監親子のエピソードと絡めて、権力闘争渦巻く朝鮮王朝の一時代を切り取り、それだけをドラマにした直球勝負の骨太の作品だと思います。

楽しく見れるわけではないし、オススメです!と言えるドラマでは決してないのですが、世子の悲劇に向かっていく展開はよく出来ていたし、ドラマとしての出来はすごく良かったと思います。

 

 

 


 

正祖(イ・ジェフン2役)が即位後に父が果たせなかった理想の「書斎」(ソジェ:身分を問わず役人を登用するための学問所)を宮廷の中の一番美しい場所に作り、その場所に立ち「自分は思悼世子の息子である」と宣言します。

このドラマを見た後だと、このドラマに相応しく、とても感慨深いラストシーンでした。