パリの夜は長いんです・・・・・・
この日の夜は特に。
モンマルトルからの帰り道、ホテルまでの道のりを散歩しながら帰りました。。
丘を下り、メトロ アンヴェールの駅を過ぎると北駅に向かって続く「ダンケルク通り」があります。
10年前に初めて単身でパリ本部に研修に来た時の滞在ホテルがここの通りだった事を思いだしながら
歩いていると、偶然にもこの通りのバーで、日本対フランスのサッカー親善試合を中継しているではないですか!?
そして試合終了間際のロスタイムに日本の得点シーン!!!
店の前で少し興奮気味で店内のモニターを眺めていました。
そしたら中から常連のパリジャンのおじさんが声をかけてくれて・・・・・
「日本人かい?せっつかくだから店の中に入りなよ!」
え!?でも・・・どうしようかな・・・
少し躊躇しましたが、公式戦ではないので険悪なムードでは無さそうに感じたので
皆と一緒に入ることに・・・・
店内で一杯やりながらムッシュとサッカー談義になるかと思いきや(話せるほど詳しくはないのですが)・・・・・
話の流れで、自分たちが美容師で、今パリに研修に来ている説明をしたところ・・・
おじさんが急に真面目な顔をして話し始めました。
「今、パリでは美容師についてとても問題があるのだよ」
えっ?どんな問題が・・・・・?
「良い美容師に中々巡り会うことが出来なくなってね・・・・」
「私は髪の長さは少し長い方が好きでね、でもどの美容師も皆、短く切りたがるんだよ」
「全然それを望んでいないのに・・・・」
ムッシュはそう言いながらポケットから彼専用の櫛(アフロヘア用に似た木製の)を取り出し、髪を後ろにとかしながら話を続けてくれました。
「私の髪質はカールが強くてまとまるのが難しいんだよ。だからドライヤーは一切使わずに、こうして梳かすとまとまるんだ」
「君は私が何歳に見えるかね?」
60代ぐらいかな・・・・・(心の声)
「私は53歳なんだよ。」
思ったよりも若かったんですね(心の声)
周りの他のお客さんを見ながら
「どうして皆、短い髪型なんだね?おかしいと思わないかい?」
「美容師はアーティストで在るべきだとは思わないかい?その人の感性で一人一人の個性を引き出す事が大切じゃないのかね?」
この言葉に僕は胸を思いっきり突き刺された思いでした。
まさかパリのバーで初めて出会った名も知らぬこの男性に核心を突く言葉を突きつけられるとは想像もしていなかったので・・・・・・・・
「つい先日、この近くでやっと 良い美容師と巡り会えてね。」
「その担当者は私を見るなり髪質を見極めてドライヘアのままでカットしてくれたんだ、まるで彫刻を削るようにね。」
確かにパリでは型にはまった仕事をしない人達が日本よりもいる気がします。
お客様の求めて居るものを見極めて仕事をする。
そこには順序や決まりは無くシンプルに良い結果を求めた結果がそうなるのだろうと思います。
ルネ・マルタンが良く言って居た言葉を思い出します。
(君が責任者。だから君が判断して決めるんだ)
プロとして、アーティストとして、責任をもってお客様にベストの提案をする。
そしてそれを自信をもって実行するには技術や経験が必要なのだと。
最後にその男性が言いました。
「美容師は人として魅力がある必要がある。でも最近その魅力がある人が少なくなってきていると私は思う」
この言葉を最後に聞かされて僕は完全に打ちのめされてしまいました。
まさか、この場所で、こんなに物事の本質を突かれた話をされるとは・・・・・
これからやらなければならないことが沢山あります。
それを再確認させてもらいました。
思い出の場所、やっぱりそこには何かが在りました。
素敵な出会いを「ムッシュ」ありがとうございます。
モッズ・ヘアで良かった。
だからパリに来て良かった。
そう強く思います。


