その音は私を夢から強引に引きずり出した
車で寝ていた私は同行者のノックの音に強制的に現実に呼び戻された
漁港でえらい事が起きていると…
朝まずめの爽やかな空気は眠気を吹き飛ばしてくれる
徐々に意識レベルが回復していく
私の眼下に映ったのは対岸のお祭り騒ぎだった
カマスの狂喜乱舞だ
さらに外海を狙うショアジギアングラーはフクラギをボコボコに水揚げしている
何も釣れない…
今思えばカマスが狂喜乱舞していたらアオリイカは入ってこない…
私達はこの漁港で30時間以上費やしたが翌日の朝に移動を決意した…
次に訪れたのは隣の漁港
初めて訪れる釣り場だ
初めて訪れる釣り場は釣れる気しかしないのは何故だろう…
釣り人の性で疲れてはいるが準備の足並みは早くなる
しかしこの時点でエギは半分諦めているので、伝家の宝刀のアジの泳がせにシフトする
まずはサビキで豆アジ釣りだ
ある程度釣り上げたら泳がせ仕掛けにアジをかける
アジの泳がせ釣りは浪漫しかない
ドラグが鳴った時点で緊張感とテンションはMAXになる
そして、あっとゆーまに夕まずめが訪れ、辺りは真っ暗になった…
ここで同行者の泳がせ仕掛けが入れ食いになる
ついにアオリイカの群れが入って来たのだ
しかし同行者はバラしまくる…
これは泳がせの宿命だが合わせるタイミングがとても難しい…
しかも私の仕掛けには全く喰わない…
入れ食いの同行者との私の仕掛けの違いは表層狙いかボトム狙いかだ
それに気づいた私はシンカーを外しアジをフリーにした…
ラインが一気に勢いよく走る
私に焦りは無い
バスのトーナメントで学んだ経験があるからだ
冷静に対処する
ゆっくりロッドを取りイカの重みを確認する
感覚からしてイカは完全に乗っている
そこで巻き合わせぎみに慎重に合わす
するとドラグが更に勢いよく出て行く…
ドラグを締め忘れたのだ…
冷静を装ってはいるが内心は焦っているもの
ここからはよく覚えて無いが
時間にして実に約45時間…
最後の最後で釣れない理由はタナだと気づき、シンカーを外しフリーにしたから釣れた…
これは「釣れた」では無く「釣った」
この違いは大きい
私の釣り人生において今回の釣行は最長の釣り時間であり、このアオリイカは最高の思い出の一杯になった
この直後にゲリラ豪雨に襲われてびしょ濡れになりながら撤収した…
雨で冷え切った体と疲労、そして45時間釣行記を締めくくる帰路に寄った締めのラーメンが、やっとの思いで釣り上げたアオリイカと同じく至高の一杯だったのは言うまでも無い