カバーを見て、性的な内容であることは一目瞭然で、そこに興味を惹かれて購入。
官能小説ではない「エロい」世界を読みたくて。
しかし読み始めてすぐ、その濃厚な性描写に驚きました。
リアルで濃厚な性描写があるのは、そこに物語の核心があるのでしょう。
村主塔子は専業主婦として、夫の両親と同居しながら子育てに勤しんできた。
学生時代の友人の結婚式に出席した塔子は、そこでかつて不倫の関係を持った鞍田と再会する。
夫とはセックスレスの関係であり、そこに不安と不満を募らせていた塔子は、鞍田に求められることで女としての自分が再び目覚めてくるのを感じ、不倫の関係に深くはまり込んでいく。
学生時代の塔子と鞍田の関係では鞍田に家族がいた。
そして今、鞍田は独身にもどったが、今度は塔子に家族がいる。
仕事にも家庭にも、夫婦関係にも大きな不満を持つ塔子だが、女として、母として、妻として、家族として、様々な葛藤を抱えることになる。
実は、読み始めてすぐに、塔子があまりにも鞍田とのセックスを簡単に受け入れすぎだろうと感じて、これは感情移入できないかもしれないと思った。
頭の中ではいろいろ考えてる。
昔のことを思い出したり、家族のこと、子供のことを思い出したりして葛藤する。
でも結局、意外にあっさりと受け入れてしまう。
しかし読み進めていくと、これがリアルなんじゃないかと感じる。
人間が当たり前に持つ性欲。そして営みとしてのセックス。
それは肉体の快楽だけではなく、精神の安定、幸福感、信頼感の礎ともなる。
そこに不安や不満を募らせてしまった塔子が鞍田とのセックスを受け入れてしまうのは、単なる「やりたいだけの女」だろうか?
性という深く大事なところに不安と不満を抱えている人というのは、意外にあっさりと流されてしまう危うさがあるのではないかと思った。
不安、不満、孤独、愛情、理想と現実、様々なものを抱えて生きる中で、自分とは何なのか、どう生きたいのか、何を求めているのか、何を捨てるのか。
普段の生活で、こうしたことを明確に意識している人がどれくらいいるだろう。
様々な葛藤、誘惑、悩みがあり、しかし、その中で流されるように生きる。
夫婦だけでなく、家庭や仕事でも「性」は関わってくる。
自分たちの生活をリアルに包んでいることだけに、考えさせられるところがあった。
ただ、読む人の年齢や立場を選ぶだろうなと思う。
単なるエロい女の人の不倫劇と受け取る人もいるだろうし、不倫に対して強い不快感を感じる人もいるでしょう。
性描写もかなり刺激的なところがあるので、読む人を選ぶかもしれませんね。