十二国記エピソード3
蓬莱では小松尚隆(なおたか)だった延王尚隆(しょうりゅう)。
どのように延麒六太と出会い、どんな経緯で雁国の王(延王)になったのか。
延王となった尚隆の元、雁の国は徐々に立ち直っていくのですが、そんな中、謀反が起きてしまいます。
全ては民のためと、斡由は六太を人質にとり、自分を上帝の座に据えるよう要求するのですが、そこには本当の正義があるのか。
国を統べるとはどういうことなのか。
王とは、正義とは何なのか。
荒廃した国に暮らす民は、何を求めているのか。
王という身分を隠して城下に繰り出し、遊んでいるように見える尚隆。
側近たちは会議にもほとんど顔を出さない尚隆を非難します。
延麒六太までが、「あいつは莫迦だから」と言う始末。
しかし尚隆には尚隆なりの思惑があり、城下に降りて民と交流する中で情報を集め、これからの国作りを考えていたのです。
飄々として周囲を困惑させる尚隆ですが、実は人一倍、国を思い、民を思う熱い漢でした。
斡由のもとに潜入し、動向を探っていた驪媚(りび)は、本当の尚隆を理解していた数少ない人物でした。
気まぐれに見える人事が、いかに周到に考えられているか。
これからの国作りを考える上で必要な人材を見抜く目。
その人材が能力を存分に発揮できるように考えられた配置。
飄々としているのは、ふざけているのではなく、肚を据えているから。
それは、六太も理解しているはずだと諭します。
残念ながら、驪媚は人質となっていた六太を逃したことで処刑されてしまいましたが、生き延びていれば非常に有能な側近となったでしょう。
これまでのエピソードで、尚隆の治世が非常に長いことが語られていましたが、このエピソードを読むと、それも納得です。
延王、カッコイイですね。
そして、斡由の最後は酷かったですね。