1991年メキシコに武者修行へ行き、1992年3月に帰国後、3代目タイガーマスクに抜擢された金本浩二がタイガー時代に使用していたテーマ曲。一夜限りの復活戦となった新日本プロレス創立20周年記念大会、超戦士in横浜アリーナ大会では、初代タイガーマスクのテーマ曲の中から「おまえは虎になれ」が選曲使用された。この曲は、BERND STEIDLのアルバム「PSYCHO ACOUSTIC OVERTURE」の中から、「Cobra Negra」を前奏部分の「In Venice」に被せながら、虎の唸り声も挿入された合体編集テーマ曲であった。ギターの旋律が虎のイメージにぴったりの選曲で、よくぞ見つけ出した1曲だなぁ、と感心した記憶。

 

金本タイガーをライヴで観戦して印象に残っているのは、1992年のG1クライマックス。2代目ブラックタイガーに変身する直前のエディ・ゲレロとの対戦が懐かしいが、肩だったかを負傷し痛々しい姿で退場した。自分としては、初代タイガーマスクとは異なる、荒々しいファイトスタイルで(アニメのタイガーマスク初期あたりのスタイル!?)2代目として頑張ってほしかったが、すぐに断念してしまったのが残念だった。

 

「PSYCHO ACOUSTIC OVERTURE」は、ドイツから突如出現したアコースティック系ギターリストの1stアルバム。Al Di Meola的な超高速フルピッキングを得意。この当時はShrapnel RecordsがNeo-Classical系から離れた路線を模索していたころだった模様。ネオ・クラシカル系かと思えば、そういうものばかりではないという印象。疾走感のある楽曲やバンドのサウンドを形成させる上で、Shrapnel Recordsご用達のドラマーAtma Anurが参加しているため、Tony MacAlpineやVinnie Mooreを彷彿させる楽曲も収録。しかしながら、主役となっているBernd Steidlによるナイロン弦のアコースティックギターが活躍しているので、雰囲気はかなり異なる。音楽的にはより純然たるクラシカル音楽の影響もありつつ、この人はPink FloydやMike Oldfieldも好きなせいか、Shrapnel系にしては珍しく割とプログレ風なニュアンスもあったりする。女性ボーカルがフューチャーされた曲はシンフォ的であり、Pink Floydの「虚空のスキャット」からの影響が強い感じ。Shrapnel系にしては異色の存在。名前からしてドイツ系か、奥様なのかガールフレンドなのかアカデミック路線のピアニスト: Petra Steidlがバリバリに弾いている。彼女も、おそらく音楽院出身者のような感じで、ロマン派の音楽に大変強そうな雰囲気である。リストのカバー曲では、Berndとインタープレーを展開するような感じ。興味深いのは、Cairoを結成する前のMark Robertsonが参加しているが、あくまでサポート的な役割にとどまっている。どの楽曲も非常に技巧的にチャレンジ性の高いもので、参加しているミュージシャンは非常に卓越したスキルの持ち主ばかり。アコースティックギターが主体ですが、楽曲によっては非常にスケールの大きいシンフォニックなNeo-Classical音楽でありながらも、決して典型的なネオクラシカル路線ではなく、楽曲の作りや和声なども緻密に作られており唸るものがある。尋常でないフルピッキングの持ち主でありますが、ピッキングやニュアンスのつけかたも豊かで、2001年にもアルバムをリリースしている。

 

 

『PSYCHO ACOUSTIC OVERTURE』収録曲:

1. Irrlichter
2. Cobra Negra
3. The Death of Ludwig II
4. Walburgis Night
5. La Campanella
6. In Venice
7. Metamorphoses
8. Jeux d'Eau
9. Eine Kleine Bassmusik
10. Papillon
11. Will-o-the-Wisp

 

 

■Bernd Steidl - In Venice

https://www.youtube.com/watch?v=zxB_Xae1QH8

■Bernd Steidl - Cobra Negra

https://www.youtube.com/watch?v=NZpf9Aldbw0

 

■テーマ曲ヒストリー

  • QUICK AS LIGHTNING! - デビュー戦から使用。
  • Let's Go Tiger(HOT LEGS) - 3代目タイガーマスク時代に使用。
  • DOG FIGHT(炎達) - ヤングライオン時代に使用。
  • ジャンクション 〜旋風〜(N.J.P. UNIT) - 90年代後半~2000年のキャリア全盛期時に使用していた金本を代表する入場曲。現在も特別な試合で使用する事がある。
  • BRING IT BACK (ZIN & MASASHI) - TEAM2000時代から使用。ボーカルはZIN、コーラスでMASASHIが歌っているが、金本自身のファンクラブイベントで「MASASHIと一緒にオレも歌っている」と語った。
  • JAGUAR'08(春畑道哉) - 元々フジテレビ系列のプロ野球中継『BASEBALL SPECIAL〜野球道〜』のテーマ曲として制作された曲だった。