長州力の定番テーマ曲「パワーホール」。ほかのプロレスラーが、節目でテーマ曲を変える例もたくさんある中、金曜夜8時のワールドプロレスリング大盛況時代から全く変わっていない名曲。変えてないというよりは、長州の性格上、テーマ曲へのこだわりがないのかもしれないが…!この曲は、1980年にキングレコードから発売された初の新日本プロレスのミュージックアルバム『新日本プロレス・スーパー・ファイターのテーマ』に収録された。このアルバムには、テレビ朝日のテーマ曲と13人のレスラー入場テーマ曲が収録されているが、アントニオ猪木のみ会場使用ではないカバーヴァージョンが収録。(当初、藤波辰巳のテーマ曲もカバーヴァージョンであったが、ヘビー級転向後、このアルバム収録のテーマ曲に変更した。)このアルバムは、忘れもしない中学1年の時に、大阪千日前アーケード入口のレコードショップにて、カセットテープ盤を父親に購入してもらった。お目当ては、当時、藤波辰巳との名勝負数え唄熱戦全盛時のこの「パワー・ホール」。33年以上経過した今でも、その購入光景が鮮明に思い浮かぶほど(店内のどこに陳列してあったかまで覚えている!)、嬉しい出来事だったのであろう。この「パワーホール」は、ほとんどがこのオリジナル版を使用しているが、1985年2月21日の大阪城ホールでの対天龍源一郎戦では、アルバム「革命戦士長州力~長州力vs古舘伊知郎」のカバーヴァージョンを使用。また後年一部で、アルバム「FINAL BLUES ROAD」のパワーアップ・バージョンを使用との記録もある(自分は直接の聞き覚えが無い)

 

 

「パワー・ホール」は、作曲者の平沢進がプロレスに全く興味が無く、長州についても全く知らなかったため、依頼を受けて「頭の中のプロレス会場のイメージだけで作った。プロレスは嫌いなので適当に作った。」とされる。この曲は同じフレーズが延々と繰り返される当時としては珍しいテクノ調の入場曲であった。なお作曲者クレジットは『異母犯抄』(異母犯の誤植、いぼはんみょう)という変名が用いられている。ついでながら、『いぼはんみょう』とは平沢の好きな昆虫ハンミョウにいぼいぼがついたような姿をイメージしてつけたとのこと。当初から著作権買い取り契約の条件で発注され、その条件で納得した上平沢が同曲を制作したため、曲が使用されても平沢自身に印税は入って来ない。

 

平沢進(ひらさわ すすむ、1954年4月1日)は日本のミュージシャン、音楽プロデューサー。愛称は師匠、ヒラサワ。1970年代半ばからプログレッシヴ・ハードロックバンドのマンドレイクで活動し、1979年にP-MODELのヴォーカル・ギターとしてメジャーデビュー。1989年以降はソロ活動も行っている。1965年頃、THE SPOTNICKSに触発されエレキギターを手に取り音楽活動を始め、1973年頃、HR/HMバンド「マンドレイク」結成。年々プログレッシブ・ロックに傾倒していき、レコード会社数社に声を掛けられるほど成長したが、1978年に解散する。

解散前には既にP-MODELへの模索が始まっており、マンドレイクのメンバーであった田中靖美と共にバロック音楽などをアレンジしたものを製作。音源は「配線上のアリア」として1994年にCD化されている。P-MODELデビュー前後の1978年頃から1983年頃まで、顔出しを必要としない職であることからヤマハのシンセサイザー教室の講師としても働いていたことがあり、P-MODEL新メンバーもここから選出していた。1978年、週刊プレイボーイ誌上で行われたシンセサイザーの多重録音コンテストにおいて、平沢の作品「いりよう蜂の誘惑」が入賞する。これは入賞作品を収録したアルバム『驚異の頭脳集団』に収められメジャーリリースされた。

 

1979年元旦に結成したP-MODELのリーダー兼ボーカリストとしてメジャーデビュー。その活動と平行して、ペンネームでの楽曲制作を行い、プロレスラー・長州力の入場テーマ曲であるオリジナル曲「パワー・ホール」を「異母犯抄」というペンネームで作曲した。また、アーティストプロデュースも行い、シンセサイザー教室の生徒だった折茂昌美、足立眞理を「Shampoo」として、P-MODELのコピーバンド大会優勝者「PEVO」をメジャーデビューさせる。二組は現在でも平沢と親交を続けている。2016年の現在でも、スタジオアルバムやアニメサントラのリリース他、ライヴ等、幅広く活動中。

 

 

『新日本プロレス・スーパー・ファイターのテーマ』

A面
1. テレビ朝日スポーツ・テーマ
2. ウェスタン・ラリアート(スタン・ハンセンのテーマ)
3. サーベル・タイガー(タイガー・ジェット・シンのテーマ)
4. アメリカン・ドリーム(ダスティ・ローデスのテーマ)
5. ジャイアント・プレス(アンドレ・ザ・ジャイアントのテーマ)
6. ビッグ・チャレンジャー(剛 竜馬のテーマ)
7. 炎のファイター・(パート1)(アントニオ猪木のテーマ)
B面
1. バックランド・ストレート(ボブ・バックランドのテーマ)
2. ドラゴン・スープレックス(藤波辰巳のテーマ)
3. ストロング・ハッグ(ストロング小林のテーマ)
4. ビューティフル・フライト(木村健吾のテーマ)
5. パワー・ホール(長州 力のテーマ)
6. ブルー・インパルス(木戸 修のテーマ)
7. 燃えよ荒鷲(坂口征二のテーマ)

 

このアルバムには、後々でも”人間山脈”として有名なテーマ曲となった、アンドレ・ザ・ジャイアントの「ジャイアント・プレス」も収録。自分は、スタン・ハンセンの「ウェスタン・ラリアート」やボブ・バックランドの「バックランド・ストレート」も、お気に入りのテーマ曲である!

 

 

■長州力(パワーホール)

https://www.youtube.com/watch?v=RGqI6cCF2Go

■長州力VS橋本真也 (2001年1月4日)

https://www.youtube.com/watch?v=-v8P-K8sD7w

※橋本は「ウェルカム・トゥ・ザ・プレジャードーム~爆勝宣言」での入場

■IWGP Japan - BIG VAN VADER vs RIKI CHOSHU 8/19/1990 (THE REVENGE)

https://www.youtube.com/watch?v=HUjpHsi0OYc

※ベイダーは「アイ・オブ・ザ・ワールド」での入場