埋没重瞼術(2022年3月30日改訂版) | 眼瞼下垂・二重まぶた・まぶたのたるみ・クマの治療(奥村 仁)

埋没重瞼術(2022年3月30日改訂版)

2022年3月30日改訂版


こんにちは,東京・神奈川二重形成・クマ・まぶたのたるみ・眼瞼下垂の治療を行っている形成外科・美容外科・眼形成の奥村仁です.

 

埋没重瞼術

目次

①手術適応

②手術方法

③術後ケア

④術後経過

⑤合併症


①手術適応

ブジーという針金のような器具をまぶたにあてて,眼をあけてもらい,患者さんの好みの幅の二重をつくります.その状態でブジーをはなして,二重が保たれるのであれば,埋没重瞼でも比較的長く二重が持続しますので,いい適応となります.ブジーをはなして二重がすぐとれてしまうのであれば,まぶたの中の脂肪量が多いか,二重を作る位置の下まで脂肪があるタイプの人が多いので,脂肪をとることができる切開重瞼の方が好ましい場合もあります.


詳しくは,重瞼術の選択の投稿をご参照下さい.


②手術方法


埋没重瞼術は,皮膚を大きく切らずに(糸の結び目のための穴は開けます)針を使って糸を通して,二重を作る方法です.⑴糸を通す位置⑵糸の本数⑶糸の入れ方等をまぶたの状態に応じて,使い分けています.

糸を通す裏側の位置の違いにより,挙筋法と瞼板法という2つの方法があります.私は皮膚側の糸挿入位置の高さが,瞼板幅を超えない範囲内であれば,瞼板法を,超える症例では挙筋法を行っています.瞼板幅が8mm位で糸を睫毛から7mm位の位置に入れる人が多いので,瞼板法で行っている事が多いです.

糸の本数,最小限でやる事が多いですが,組織の厚みが厚い人には,複数の糸で形成します.

糸の入れ方は三角形に入れる方法,四角形に入れる方法,連結させる方法などがあります.糸が自然には取れにくく,何かあった時には取りやすい事を考えて,連結させずに四角形に入れる事が多いです.

マブタの形成外科・美容外科(奥村 仁)


手術の実際

患者さんに手鏡を見てもらいながら,ブジーという針金のような器具をあてて,希望の二重を作ります.ブジーを当てた場所が糸を挿入する位置になるため,この手技に時間をかけて,正確にマーキングします.キャリパーという精密に計測できる器具を用いて,mm単位で誤差が出ないように注意します.

 

注意点

(1)アイプチやアイテープを使っている人→針金で抑える部分と違うことが多いです

(2)見た目の二重の左右差をそろえるために,左右違う部分に入れることがあります.

(3)特に加齢性のたるみを,埋没で折れかえる位置を変えて解消しようとする症例で,あまり高い位置に入れると,瞼の開きが悪くなることがあるため,限界があります.

 

手術は点眼麻酔と局所麻酔で行います.局所麻酔の時は,痛みが出来るだけ少ないように,ゆっくりと麻酔液を入れるようにしております.その後,麻酔が十分に効くまで待ってから手術を始めます.糸を入れるのは,片側5~10分程度で,それほど時間はかかりません.(一番時間がかかるのは,手術前のデザインです!)座って二重のカーブを確認したら,糸を表面から見えない位置で切って終了です.まぶたをよく冷やした後,帰っていただきます. 


術後ケア

術後3日間は,出血の予防として顔が赤くなるような行為(運動・飲酒・入浴など)は控えて下さい.

 

腫れ(腫脹)の予防のために,患部周辺を,よく冷やして下さい.特に術後3日間はアイスノンや保冷剤,冷たいタオルなどで冷やして下さい.また,横になると,顔がむくみやすいので,日中は座位で冷やして下さい.


シャワー浴や洗顔は,手術の次の日から可能です.顔を洗う時に一緒に,傷周囲の軟膏や血液をやさしく洗い流して下さい.術後3日以降は石鹸で傷も洗って頂きます.(消毒の必要はありません)眼軟膏を塗布していただきます.


コンタクトレンズは,1週間控えて頂きます.
傷から離れた部位のメークは手術翌日から可能ですが,糸を結ぶために開けた穴が閉じる前(術後3日位)に,お化粧が傷の中に入ると,刺青のように残ってしまったり,感染を引き起こす可能性があるので,3日間は傷の上は避けていただきます.

術後診察

通常,術後1週間,1ヶ月,3ヶ月に受診して頂きます.


術後経過
⑴腫れ(腫脹)
術後3日間(出来れば抜糸まで)は,出来るだけ座位で患部を保冷剤,アイスノン,氷水の入った袋などで冷やす事により,腫れを抑えられます.切開に比べれば,組織へのダメージが少ないので,糸をいれる本数にもよるが,術後1〜2日目がピークで,徐々に引き,術後1〜2週間程度で腫れが引きます.

⑵内出血(皮内・皮下出血) 
内出血は範囲・量により変わりますが,回復するまで,1〜2週間を要します.術後2,3日は目をあまり使わず,血流が良くなるようなこと(入浴,運動,飲酒など)を避けていただきます.

⑶後戻り・ラインの消失
瞼をこする,コンタクトレンズを外す,メイクを落とす等瞼を触る機会が多いと,糸が緩んだり切れたりする原因になります.また,本来は切開法の適応である方に埋没法を適用した場合も戻りやすいです.

⑤合併症

⑴糸の露出

長期の経過で皮膚や結膜から,糸が露出するリスクがあるため,異物感や感染等に気付いたら,すぐに受診して頂きます.

 

⑵感染

感染の予防に,洗顔する事で傷を洗浄して清潔に保っていただき,抗生物質を内服して頂きます.

 

⑶開瞼障害

糸を強く縛りすぎたり,重瞼線が高すぎたりすると起こりやすいので,術直後に開瞼障害がある場合は,縛る強さを弱くしたり,挿入位置を末梢にずらしたりして調整します.


⑷左右差

デザインや手技の問題で左右差が出ないような手術を心がけています.術前から,表情の作り方や利き目などで,開瞼・眉毛位置の左右差は,生理的に殆どの人に見られます.開瞼が強いと二重幅は狭くなりやすく,眉毛位置が高いと二重幅は広くなりやすい.ブジー・シミュレーションの段階で予測出来る場合は,左右で糸の挿入位置の高さを変えて,見かけの二重幅を揃えることも出来るので.患者さんと相談して糸の入れ方を決めます.