帰り道彼が好きな曲がカーステレオから流れ 

あっという間に暗くなっていった空と冷たい秋風が

甘い金木犀の香りを車の中につれてきていて

私は助手席で 心臓のドキドキ音が聞こてませんようにと

外の街灯も少ない道を戻って行った

会話は 他愛もない会話だけれど覚えていない

緊張MAXの中

また 家の事などの心配と

今 私に起こっている事で頭がいっぱいそれに加え

こんな夜遅くまで外に出た事がない

帰ったら 怒られるだろうな〜とため息が出そになったので窓を開けて思いっきり息を吸って はいた

「どうした?緊張してしもたけ?」

「う・うん」と苦笑い

秋のつるべ落とし

車の時計を見ると 

まだ家に帰っても怒られないかも!!と思った時

「ちょっと 寄り道しいひん?これでバイバイは寂しいやん」流石大人だ 

言葉巧みに操る技(私の頭の中は早く帰れば怒られる 遅くても多分怒られるもしかしたら 寝てるといいけど‥それよりも 何故か離れがたかったドキドキする用な思いをしたのにもう少し側にいたかった)


その寄り道とは彼の家だった 

【多分 普通の女の子なら このような場面になれば自分の身の危険を感じて 何か理由をつけて帰るよね】

寒くない 暖かい部屋にほっとして私は お邪魔しますと普通に入った

【男性なら ラッキー!魚がつれたと思うよね】

まだ秋の始まりけれど 

彼の家にはコタツがあった綺麗に片付けてあるその部屋に入り

確か オレンジジュースをもらった

完全な頭パニック状態が続き

会話はしたけれど全く覚えていない

多分学校の事やら 兄弟の話のような他愛もない会話

少しづつ なんだか距離が縮まっているような気がした

その瞬間押し倒され口と口が重なり合った驚きと心臓のドキドキもしかしたら破裂するのではと目が大きく見開いて 彼の顔が目の前にある息が出来ない 

どうしょうだんだん意識が遠くなっていった彼がベッドへ私を運ぶ途中これは夢?

今 私何してるの?

もしかしたら死んだ?

両腕を握られ 私の心臓の音が聞こてしまうと思うと

また恥ずかしくて恥ずかしく

「本当に初めてなんやね びっくりした?」

ただ頷く 

恥ずかしくて顔など見れないそのまま 

続けようとするけれど怖くて 怖くて

彼の手から這い出した

「ごめんなさい 怖いの」

「大きな心臓の音が聞こえたから解るよ」そう言って

 頭を撫ぜながら 抱きしめ突然ごめんなと

それは 甘い香りとタバコの香りが混ざった素敵な思い出

キスなと宝塚や映画でしか見た事がなかった

息が出来なくなるなんて

学校1恋愛に無関心でそんな事は他人事だと思っていた私がまさか まだ1年生なのにこんな事って????????

彼は 私の心臓が落ち着くまで抱きしめてくれて

「もう遅いし 家まで送るはな」と言いながら

「これ俺の電話番号 ○○の番号教えてくれる?」

頷き 家の番号を紙に書いた

「電話するしな」その言葉には 

何故か (かかってこない電話だろうな)と感じた

車で家の近くの通りまで送ってもらいバイバイと見送った

外はもう かなり肌寒いのに私の頬はポカポカしていた

家の前に立った私はたちまち現実に引き戻された

家の前に座り怒られに入るかそれとも このまま朝までいるか凍え死ぬのかなど考えていたら

隣のお姉さんがそっと隣に座り

「どうしたの?お母さんと喧嘩でもした?」

「帰らずらいんとたがう?」と

「お姉ちゃんが一緒に行ってあげる怒られへんようにしてあげるし」

そう言われもう冷たくなった身体にお姉さんのコートをかけてもらい家に戻った

怒られると ドキドキしていたけれど顔をあげると 

父と母が

「何かあったみたいやけど 怒らんといて下さい」とお姉さんが言ってくれた

父も母も心配していたと

お姉さんにありがとうと言って家に入った

初めての家出もどき

お姉さんが帰ったら起こるんやろうなと覚悟していたら

2人から「ごめんね」の言葉に驚き 

また頷くだけだった

その後 暖かい湯船に浸かり今日の事を思い出し また心臓がドキドキ 頬はポカポカ

だけれど本当に会うはずだった人に申し訳ない事をしたと神様に謝った

私の甘いそして少し苦いタバコの香りがするその恋は

9月の始め 金木犀が咲き誇り甘い香りを風と共に連れてきてくれる暖かくも 少し寂しい季節に始まった