これは 私の道の半分ほどのお話
たぶん半分 

私の記憶での 初めては 
まだ おむつを変えてもらっていた頃
母の顔が ぼやけていた頃
誰かに 悩みごとを話していた彼女に
解決策を 話していて
全く 見当違いな返事が返ってきて

「あ まだ言葉が話せないんだ」
そう 感じた時の記憶


2番目の記憶は
喘息で 1人 枕元に軽食が置いてあり
天井を ぼーっと見ていた記憶

いつも1人なのは 何故なのかと
寂しいという 言葉を まだ知らなかった記憶

そのうち 少し良くなると
少し布団から出て
鳥や蝶々 風や雨 お日様の日差しを
身体で感じた

忘れていた
2‥5の記憶
縁側で母と 兄が遊んでいたのを見ていた時
大きな雷がなって 
泣きじゃくり 極度に怖かった記憶

布団で伏せっている事が多く
外の世界は 家の庭
扉を開き 外へ出ても
まるで 恐ろしい世界へ出るように
たった1歩

家の世界が 
私の世界だった

少し扉を明け 
兄に連れられ 外に出ても
直ぐに発作が起きるから
慌てて家に入り 
まるで猫のように 布団の中から出てこなくなる

4番目の記憶は
家の中で 1人 空想世界で遊ぶ事
縁側で 風を感じ 
雨の匂い 花の匂いを
誰よりも嗅ぎ分ける犬のような子
雨が降るよと 降る前に母に言う事で
洗濯物は 安全に取り込まれた