◎検閲
検閲がその性質上表現の自由に対する最も厳しい制約となるものであることに鑑み、これについては、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨を明らかにしたものと解すべきである。
(公共の福祉による制限を受けません。)
検閲とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、対象の表現物につき網羅的一般的に発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを指す。
★裁判所による出版物の事前差し止め
裁判所の仮処分による出版物の事前差し止めは、検閲には当たらない。
理由
憲法21条2項にいう検閲は、行政機関が行うものに限定される。
司法裁判所が行う事前差し止めの仮処分は、主体が行政機関でないため検閲には当たらない。
ただし、裁判所が行う事前差し止めも、原則としては許されません。
★関税検査
関税検査は、検閲には当たらない。
理由
輸入が禁止されても、発表の機会が全面的に奪われるわけではない。
思想内容等それ自体を網羅的に審査し規制する目的ではない。
関税長の通知がされたときは司法審査の機会が与えられているので、行政権の判断が最終的なものではない。
★教科書検定
教科書検定は、検閲には当たらない。
理由
教科書検定は、一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や事前審査などの特質がない。
教科書検定による表現の自由の制限は、合理的で必要やむをえない限度であり、憲法に違反しない。
◎通信の秘密
通信の秘密は、検閲とは違い、絶対的なものではありません。
制限される場合
・通信傍受法
組織犯罪における犯罪捜査のために通信を傍受できる
・自己破産における通信の秘密の制限
自己破産すると破産者宛の郵便物は本人ではなく破産管財人に配達されるようになり、破産管財人はその郵便物を開き、内容を読むことが出来ます。