博多駅テレビフィルム提出命令事件
報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にあり、報道のための取材の自由も、同条の精神に照らし十分尊重に値するものといわなければならない。
何らの制約を受けないものではなく、たとえば公正な裁判の実現というような憲法上の要請があるときは、ある程度の制約を受けることのあることも否定できない。
報道機関の取材フィルムに対する提出命令が許容されるか否かは、証拠としての価値や必要性の有無を考慮するとともに、これによって報道機関の取材の自由が妨げられる程度、これが報道の自由に及ぼす影響の度合いその他諸般の事情を比較衡量して決せられるべきであり、これを刑事裁判の証拠として使用することがやむをえないと認められる場合でも、それによって受ける報道機関の不利得が必要な限度をこえないように配慮されなければならない。
判例 S44.11.26 大法廷・決定 昭和44(し)68
☆ポイント
報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にある。
報道のための取材の自由は、十分尊重に値するが、憲法で保障されてはいない。
取材の自由は何らの制約を受けないものではなく、憲法上の要請があるときは、ある程度の制約を受ける。
報道の自由:憲法で保障
取材の自由:憲法で保障されない