子供達には通常、教会の
ポザウネン・コアーの
先輩達からの好意で、トランペト・
フリューゲルホルン・ホルン・
トロンボーン・テューバ等の
金管楽器が無償で貸与されている。
シェフのM氏、担当牧師のR氏
(彼は残念ながら、檀家の方達に
本当に惜しまれつつ、
昨年定年退職。
コアーのメンバーとしては
オブザーバーとして参加。ホルン
担当)と私の3人で
少しづつ子供達のための楽器・
楽譜を集めていく。
プロジェクト発足当初、私の独断で
コルネットを導入。
トランペットよりも管体が短く、
コンパクトで手の小さな
小学校低学年から大人まで、
幅広く対応できる。
音も柔らかく作り易い。

ベルリン市内にある馴染みの、
金管楽器奏者御用達のお店に
良品質の中国製の楽器が、
3ヶ月ごとのレンタルで
1度にスタートに充分な数が
準備できる。

子供たちの希望で彼らのサイズに
あった楽器が、ホルン、
トロンボーンも準備出来る。
購入希望者には格安で販売も
できる。
万が一壊れてしまっても、
修理が効くし買い替えも双方に
とってメリットが十分にある
(利益を出す事を考えれば、
一度に購入してレンタルで目減り
していく楽器の価値を、使用期間に
応じて目減・相殺させていくより
適正価格で販売すれば利益が出る。
ショウバイの仕組みは、
そうなっている様だ)

その分の私の月々の収入は、
減ってしまうが元々が利益を
出すのが目的ではない。
新品のグランド・ピアノ付きの
教会の場所代や、楽譜、
コピーなどの細かい消耗品、
コンサート開催にかかる
様々な経費、お金を払うだけ
ではなかなか得られない人材も、
幸いな事に私の周りには自分の
利益に目を瞑って、協力して
くださる方がたくさんいる。
必要な楽器には、修理補修を含む
維持管理も私の責務の一つだ。
月々の月謝から1人親も少なくない
この地区特有の事情も
子供達の良き理解者である、
大人に余分な負担を掛けずに
何とかヨチヨチ歩き出そうとしている
グループを運営できそうな
希望を与えてくれそうだ。


近隣では、指導者不足、後継者不足で
礼拝にポザウネン・コアー
演奏を維持でき無い教会も
増えている。
私のお世話になっている教会も
ご多聞にもれず、資金難が
主に大きな理由で苦しい状況の
ようだ。
現在の苦しい台所事情を、
何とかやりくりを付けている
状態だそうだ。

ベルリン市内でも教会自身の
統廃合、礼拝の為の
教会音楽も財政難が理由で
簡略化が進んでいる。

信仰心・教会の存在、存続の危機と
言われて久しい。
教会に関わる行事をオーガナイズ
する大切な中核の
常駐の事務職員や牧師、
オルガニストがいない。
あるいは他の地区との掛け持ちは
普通に見聞きするように
なってしまっている。

或いは、観光地ベルリンの地の利を
活かしてイベントホールの様に
なってしまったり、見学の
場所として引きも切らない観光客を
相手に入場料金を払って
教会に立ち入って、その歴史の
積み重ねを感じることはもちろん
大切なことだと思う。

地域や檀家の人々の心の拠り所、
思い出の場所魂の安息はどこで
得られるのだろうか。

私達はここでも絶妙なハーモニー
感覚、バランス感覚を
試されるに違いない。