「ヘル・グシ、実は貴方に折り入ってご相談が在ります」
オバさまの、何時にない切羽詰った雰囲気に
私も思わず、背を正し座るように促された椅子に座ります。
・・・イタズラを咎められた、小学生の頃の校長室の感じ・・・・

オバ「予定されている演奏会ですが、実現がかなり困難です」
私「何か、教会の大切な行事でも有るのですか」

オバ「イイエ、ご承知の通り教会の改修工事で
建物・機能とも素晴らしく成りました。
但し、今迄設置されていたアップライト・ピアノを
移動した為に、教会の中で貴方のコンサートで
トランペット演奏を伴奏する為の楽器が、無くなって
しまっている事実に、誰も対処していないのです」

私「あの・・・コンサートは後三週間後の日曜日に
予定していて、伴奏の方にも楽譜も渡してあって
延期は、出来るだけ避けたいのですけれども・・・」

オバ「ナイン(いいえ)、そう言う事では無く、実は
他の利用者の方々からも、相談があって
なんとかピアノを、出来ればフリューゲル
(グランド・ピアノ)を、と願っていますが
私はここでは、ただの事務長の権限しか在りませんし
何とか、音楽関係の利用者からの熱意と、強い要望が
必要なのです‼」

私「日頃から、お世話になっていますが、私は
青少年金管バンドで、お世話になっている身で
時々催させて頂いているコンサートでも
まだ未だ、観客動員もままならずに恥ずかしいくらいです。
教会付きの、カントール(音楽楽師・オルガン奏者)か
もっと、発言力の有る適当・最適な方は
いらっしゃらないのですか?」

オバ「私達は、貴方がその最適任者だと思うのですが・・・」

私「(-_-;)・・・・・・」
つづく