折角ですので、ドイツ語を少しご紹介していきましょう。
週末のお仕事を終えて、家路へ急ぐkollege(コレーゲ=同僚)への挨拶として
「schönes wochenende ! 」(シェーネス・ボッヘンエンデ=良い週末を!)
と言う呼びかけがあります。

日本語にはない表現かも知れませんが、「ごきげんよう、また来週ね。」
と云った感じで、お互いに気軽に声を掛け合って帰ります。
一仕事終えて、”ビールで乾杯!”もありますがこのハイ・シーズン中は
それこそ、”毎日顔を会わせる”可能性もありますので、サラッと別れるのも
気が利いていると思います。
(フリーのお仕事をしていると、毎回同じメンバーで。という訳には
なかなか行きませんがーそれも多くなります)

コンサートが終わってからの雑務、今シーズンの出番(乗り番/降り番)の
確認/調整をオーケストラ・マネージャー氏としている私の背後から
この数日間、一緒に練習/演奏をした仲間が次々挨拶を交わしながら
皆それぞれ次の予定を、頭に描きつつ家路に就く訳です。
不思議なモノで、演奏終了直後のステージ上の達成感/開放感とは
また別の感情があるような気がします。

「良い仕事だった」「キツい本番だった」「やっと終わったよ。フウ」
『最悪じゃ・・・』まで、皆それぞれなのでしょう。

今夜は観客席に居た、昨シーズンまでコンビを組んでいた
(御高齢のため引退)pauke (パウケ=ティンパニ)のジイさんは
すっかり老け込んで何だか足許も覚束なくなった様でしたが、

「シッカリして、また聴きに来てください。」

との私の言葉に

「あそこのバランスと音程は、ヌシは未だまだじゃ、気を付けい」

と辛口の批評を頂き、内心舌を巻きつつ少し安心する思いでした。

ー私の周りを見回しても、私がこのオーケストラで演奏を始めた頃とは
だいぶ様子も変わって来ています。

ベルリン・フィルと同じホール(フィルハーモニー)で毎回、
”売り切れ御礼”の札を私達の出演するコンサートのポスターにも、
貼って頂いているのですが、沢山の方々に愛されているのだと思います。
(これをベルリンの不思議!?という方々も居ます)
当たり前と思わずに、毎回私達の演奏を聴き緒に来てくださるお客様に、
かつての同僚に、そして何よりも自分自身に、納得の行く演奏を心がけて
行きたいと思います。

「schönes wochenende ! 」(良い週末を!)

トランペット奏者
具志 優