一時帰国直前の、忙しい最中にもコンサートは続きます。

まぁ、半分は自業自得、でもやらねばならぬ事はさっさとやり、
自分が「これは大切だと信じる事」は、「やり遂げなければ先には進めない」
これは私が、過去13年間ドイツで学んだ事です。
2002年のハレ/ザクセン州でのヘンデル国際コンクールで、入賞できたのも
ベルリンの音楽大学を途中で辞めて、余りにもやる事のない
“ヒマ、暇、閑を持て余している”自分への『戒め』も
あったのかも知れません。

学校に残って、きちんとドイツでの卒業資格を取っておけば良かったと
いまだに悔やんでいます。(勿論、復学の努力はしましたが・・・)

そのコンクール準備として私が何をやったか・・・
1996年から、学校を辞めてしまう2001年まではヨーロッパ中の
トランペット・音楽講習会を渡り歩きました。
有名・著名な先生を訪ね、北は北欧フィンランドから
南は、スペインまでです。(もすごい移動距離です!!)

家族の生活の為に、準備した生活資金も底をつき、親をあてにしていた
仕送りも止められ(これが本当の兵糧攻めです・・)仕事もありません。

それらの事をしているうちに、気付いた事・・・それは
『人前での演奏経験が、圧倒的に不足している』という事でした。
私は街頭や,駅でのラッパを片手に、ストリートパフォーマンスを
始めたのです。
(普通はここで我に返り、家族の為に一生懸命働くのでしょうが・アホです)

最初はおそる恐る、人目を気にしながら、アレクサンダー広場や
ポツダム広場の駅構内や、駅ビルのショウ・ウィンドウ前での演奏です。
人道リのある所でなければ、お金はもらえないし,何よりも
トレーニングにはなりません。

最初は「知り合いにでも遇ったら、どう言い訳しよう」という様な事で
頭が一杯で、何を演奏したのかすら、覚えられない状況でした。

ある日、イタリア料理店の前で『ゴットファーザー』を吹いていると
如何にもな強面のオニイさんが、店の中からでてきました。
黒のスーツでびしっと決め、髪型はあのアルパチーノ風です。

『・・・・やばい。』

“愛のテーマ”を吹いて、次は、日本では有名な戸○先生の
アレンジモノです。

2曲目を吹き終えて、腕組みをしている例の彼、“○○に睨まれた蛙”状態の
私は、そそくさと譜面台をたたんで(かっこワリィ)逃げ出す準備を
している所にも、靴音高く彼は、ズカズカと近づいて来ます。

『・・・まじでヤバい・・指も、歯もまだ未だ要るしぃ・・』

「これで、映画も見てちっとは研究しろ!」ダかナンだか聞き取りづらい
イタリアなまりのドイツ語で一応お許しのお言葉?です・・・

そんな彼が差し出したのは、5ユーロ!これで私の度胸試しは
(メデタくクリア!?)終了です。

実際結構な人が、お金を入れてくださる事、子供連れに評判がいい時は
たいてい上手く行っている事、ロケーションを考える事。

これって、実際のコンサートのプログラミングにも、
そのまま当てはまるのです。

ましてや無伴奏で、何を演奏しているのか一発で解らなければ
最初の数秒で、勝負は決まります。

そして、出来れば視線を合わせて演奏できる事。
(一人一人の観客ではなく、もっと実際は少し遠方を見ています。
 譜面にかじりつかない事など等・・・)

それを肝に銘じて、コンクール直前のプログラムを
(一次、二次予選、本選に別けて)
いろいろなヴァリエーションで、知り合いの教会に頼み込んで
自己企画の演奏会を、無償で演奏させて頂いたのです。

そんな演奏会を、十数回続けたところで、当時まだ通っていたレッスンで
先生に、演奏を聞いて頂いていた時の事
(学校は辞めても、個人レッスンは続けてくださいました。)

先「あと、どんな曲を準備しているんだ?」
私「国際コンクールの課題曲は、殆どどれも既に人前で演奏しました。」
先「全部自分で企画して、コンサートを開いたのか?」
私「他に、良い練習法が見つからなかったので・・・でも準備が・・・」
先「イヤ,準備はできつつある!」
私「?!?!?!」

こうして私は、締め切りギリギリのヘンデル国際コンクールに、
滑り込みで応募。本選直前の、2次でも足切りギリギリ通過
本選は、審査員一同驚きの逆転”2位”と云う、自分でも信じられない結果に
終わる事が出来たのでした。

そんな私が、企画したコンサート/バッハ・ミーツ・ヘンデルが、
本日あります。

お時間と興味のある方はどうぞ!

BACH meets HÄNDEL

in Berlin-LuiesenKIrche/Charlottenburg
U7 R,Wagner platz
18.30Uhr
welk von J.S.Bach G.F.Händel.G.F.Teleman

Andreas Wenske (Oboe),
Stefan Kircheis (Orgel/Klavier)*Bach preisträger
Masaru Gushi (Trompete)*Händel preisträger

eintritt erbeten spende für kinderposaunenchor der Gemeinde


バッハ・ミーツ・ヘンデル

ベルリン-ルイーゼン教会/シャルロッテン地区
地下鉄7番、リヒャルト・ワーグナー駅下車
夕方6時30分開演

J.S.バッハ、G.F.ヘンデル、G.F.テレマンの作品を演奏致します。

出演者 アンドレアス・ヴェンスケ(オーボエ)、
    
    ステファン・キルヒエィス(オルガン/ピアノ)
    *バッハ・コンクール入賞者
    
    具志 優(トランペット)
    *ヘンデル・コンクール入賞者 

入場料は頂きませんが、子供金管バンド育成の為の寄付をお願いいたします。

トランペット奏者
具志 優