dSOBのユニークなところは、“黄金のプログラム”もその1つと
云っても良いかも知れません。
「マーラー」や「ストラヴィンスキー」といった近/現代の作曲家が
主流の現在のクラッシク界において、忠実に頑なにバロック期や古典、
ロマン派までのレパートリーを、そして毎年必ず一度はある踊り手の
付くバレエ音楽を、また、まだまだ人気の衰えないオペレッタ等を
52年に渡って、繰り返し演奏し続けているのです。

音楽大学でも最近は、あまり演奏される事の少なくありつつある
バッハや,ヘンデルの超有名曲や、ベートーヴェンやモーツァルト、
ハイドン等の交響曲、ブラームスやドヴォルザークの舞曲、
チャイコフスキーのバレエ音楽、プロコフィエフやサン・サーンスの
見(聞き)慣れない小品、ムソルグスキーやボロディンだって私は全て
ダス・オケで学んだのです。

オーケストラスタディ(音大生のバイブル/オケマン必帯の書)の
必ず知っていなければ行けない曲(ヤバい所練習曲集)としては、
練習した事はあるのだけれども・・・という曲も、もしかしたら
先生でさえも「ずっと昔に、何度か演奏した事があるかも」という曲も
「永遠のクラシック」のコーナーでしかお目にかかれない様な曲も、
「こんな曲、本当にあるんだ」という曲もです。

この“黄金のプログラム”が魅力となってダス・オケはベルリンの聴衆の
心をシッカリとつかんでいるようです。

因に私は、このオケとの共演で生まれて初めてのJ.Nフンメル作曲の
トランペット協奏曲や、ポストホルンを使ってG.Fテレマン作曲の
ホルン協奏曲もそれぞれ満員御礼のフィルハーモニーの大/小ホールで
経験する機会に恵まれました。次はハイドンのトランペット協奏曲や
テレマン、ヘンデル、パーセルの小品も是非、演奏してみたいです。

オーケストラマネージャー氏曰く
「あのモーリス・アンドレ氏も演奏した舞台で、約2000人の
聴衆の前でのクリスマスコンサートにソロを吹きませんか?」

不安や心配は微塵も無く(準備の段階で、恐ろしい事を約束したと
後からジワジワ来ましたが・・・)悪魔の様な魅力的な(麻薬的?!)
音楽の罠に一発でK.O.ノックアウトです。(ファウストのようです?!)
「是非、やらせて頂きます!」と返事をした後、準備に予想外な出費や
プレッシャー、ソロに臨む自己管理/調整の難しさに悩むという事を
学んだのはズーッと後の事です。

何せ、そんな大変なプログラムをたった2回の練習で、音楽的にも
ある程度の満足を得られる様に仕上げて(2000人のお客様にお金を
頂いるので、聞き(見)苦しくては勿論ダメです)
本番まで、乗り切らなければならないのですから・・・・


トランペット奏者
具志 優