ひろくん…

もうちょとだけ
こうしてて…

うん…
ねぇ…ひろくん
なぁに?
今日は来てくれて
ありがとう

会いたかった…

遅くなってごめん…
俺も
ずっと会いたかった
☆…

ひろくん…
名前聞こえてたのね
さっきお客さんに
言われてたの聞こえた

いきなり呼びすて?
ダメ?
気にしてないけど
いきなり言われて
ドキッとした

俺の事も
ひろくんじゃなくて
ひろお…
わかった
ひろでいい?
ひろ…

本当は広臣がいい
もう少しで
言うところだった
ひろ…
HIROさんじゃん

心の中で
違うドキドキがする

店が開く前に帰る
じゃあそこまで

お店に降りて
入口を出ると

おはようございます
おはよう

すぐ戻るから

その女性は
俺をジッと見た

油断していた
サングラスはしていた
マスクをしていない
ニット帽は被っている

タクシーいるから
ここで
おみやげありがとう
じゃあ
じゃあね

彼女が店に戻るまで
見ていた
もう一度…
もう一度行きたい

彼女は振り向かなかった

それからしばらく
彼女の店に行けなかった


もう戻って来たんですか?
どうして?
ママのいい人じゃ…
違うわよ

今日ママ美容院行きました?
髪型もメイクも
バッチリ
気にいってる

さっきの人
どこかで見たような…
どこだっけ…
今日もよろしくね
はい
テーブル磨いて

その日から彼は
しばらく来なかった


季節は春になり
桜が咲きはじめていた

桜が咲いてきたね 臣
そうだな
お花見したいねぇ
隆二
女子みたいな事言うな
お花見いいじゃん
行こうよ
無理だって
レコーディング終わったら
行こうよ
いつ終わるの?
わかんない

毎日があっという間に
過ぎていく

彼女は元気でいるだろうか
LINEも知らない
あの温もりに触れたい…

…ねぇ 臣
聞いてる?
えっ?
NAOTOさんが
花見行こうって
3人で?
そうだけど
レコーディング煮詰まってるから
行こう

お疲れ 
臣ちゃん
お花見行くよ
NAOTOさん…
そこで岩ちゃん会ったから
一緒に行くよ

大丈夫ですか?
人多いし

大丈夫だって
俺のマネも着いて来るし
隆二行くよ

結局4人で花見に出かけた