あなたは
本当に大切なものと
出会えたことが
奇跡だと気づいていますか？
前回までのお話はこちら
↓
https://ameblo.jp/maaya-sakurano/entry-12625908388.html
処置室に入ると
娘はベッドの上で静かに
眠っていました
いつもと同じ寝顔でした
娘に触れても
その体はいつものように温かく
声を掛ければ
起きてくるような気がしました
5歳上の息子が
『… 俺より先に逝くなんて』
そう一言だけ
独り言のように呟きました
80歳を超えた父は
声を抑えるように泣いています
私は
何も言えませんでした
心の中で
ごめんねと伝えることしか
できませんでした
娘を守れなかった…
今まで私を守って 支えてくれた娘を
私は
守りきることができなかった
泣くわけでもなく
私は ただ
体温が残る娘の手を
ずっと握っていることしか
できませんでした
…続きます
またお会いできますように
桜野 真綾