AERA
そして日本経済新聞にて
ロケ密着記事


吾郎さん主演映画 阪本順治監督
《半世界》

タイトルを最初に見たときに想像したのは
何かの半分を表した世界なのかと思ったが
逆だった

それはもう一つの世界
ハーフではなくアナザー
グローバリズムの時代の大きな世界ではなく
小さな地方都市の里
そこにも人々は暮らしそれぞれの人生がある
そこから見える景色はどんなだろう

その生まれ育った町で炭焼き職人として暮らす絋
阪本監督は
エレガントで社交的な稲垣吾郎が
『土の匂いのする役を演じたら面白いかもしれない』と選んでくれた

ひげを蓄え、スコップの似合う山の男へ
炭焼きの工程を学んで体験する
監督と調整しながら絋を自分のものにしていく様子は役柄そのままに職人気質な俳優稲垣吾郎を感じる
努力を見せない努力の人

同級生の3人が人生の半ばにさしかかり岐路に立つ。そこにどんな思いが生まれるのか

同世代の方との共演は少ないように思うので長谷川博己さん、渋川清彦さんとどんな演技のぶつかり合いを見せてくれるんだろうとワクワクする。

昔から阪本監督のファンだという吾郎さん
とても嬉しかったのだろう
撮影の合間にアップしてくれたブログは期待に満ちて演じる喜びに満ち溢れていたから

慎吾くんともお仕事をしている監督が
『香取慎吾が強い日差しと影をもつ人』に対して
『稲垣吾郎は日だまりの穏やかさをもつ人』と評してくれた。
『真っすぐで演出していて届く感覚がある』

吾郎さんの演じる姿勢をわかってくれてるんだなと。吾郎さんはいつも作品は監督のものだから自分はその求めに応じることによっていいものを作り上げていきたいと言ってるから。
一緒にお仕事してない方にも過去の作品を通じて伝わるものなんだと嬉しくなった


自分を認めてあげられない絋
その人物を演じるために自分を見つめ直して稲垣吾郎自身が深みを増していく

そんな磨かれた役者の姿が
二本の炭を合わせて叩く澄んだ音の響きに重なってくるようだ


待ちかねていた俳優のお仕事をじっくり味わった幸福感に満ちた吾郎さんの言葉に
来年の公開が待ち遠しい

そして役者稲垣吾郎の新たな道しるべの作品となりますように