こんばんは。

先日は、娘の卒業の記事にたくさんのお祝いをありがとうございました(*^^*)


ワールドの番宣、世界ジュニアでの活躍。

ワールドもいよいよ見えて来て、

春は、なんだかソワソワしますね。

今日は、いつものことですが、マイペースで好きなことを書かせてね


…………


読書感想文な記事です。

本を読むのが好きで、いつも数冊を並読しています。

最近、読んでから、しばらく他の本を読む気になれなかったくらい、

心に残った本があります。


朝井まかて  作

  恋歌」れんか


どんなお話か少し、紹介しますね。

あらすじを知って読んでも差し支えない本だと思うので……。


樋口一葉の師匠である歌人、
中島歌子(本名 登世)の生涯を書いた物語です。

商家の娘として、幕末に生まれた登世。

美しい剣士林様への一途な恋を成就させ、

水戸藩士、林以徳(はやしもちのり)の元に嫁ぎます。

しかし、水戸藩の内乱(天狗党の乱)に巻き込まれ投獄されてしまいます。

生死のわからぬ夫の帰りを信じて必死に生きる登世。

夫である林様に命懸けで恋をしたからこそ
様々な困難に巻き込まれ、

牢獄での気の狂いそうな環境の中でも

「それでも私は一筋も悔いることができない。恋焦がれたあの人の妻になれた」

と言い切れる登世の一生を懸けた恋の物語です。


この主人公の夫となる美しい剣士林様が、

読めば読むほどに、

結弦さんのあの、若様の姿に重なって見えて……

一層夢中になりました。

例えば、

主人公登世が、林様に出会い一目惚れする場面……。

語り継がれるほどの美男剣士だったという、彼……。


……意志の強そうな眉に、鼻筋は清らかに細く、……頬に笑みが浮かぶ。

それは、ごく微かに苦味のようなものを伴った、静かな微笑だ。……


本当に彼のことのようじゃない?

この林様と主人公の登世の恋。

……本当に、現代の恋からは、想像つかないくらい、

触れるか触れないかの、切ないもの。

結婚してからもそう。

二人の時間のあまりに少なく、

試練はあまりに苛酷で。

その時間を宝物のように抱き締めて生きる登世……。


二人の宝物のような場面を少しずつ。

この際だから、


主演 結弦さんで。


林様が登世への思いを語る言葉より……

捨てる覚悟であった命を捨て損ねたと気付いたとき、
目の中に浮かんだのは、
ある面差しであった。

なにゆえかわからなかった。
あの冬、梅樹の枝に短冊を吊るしていた、娘の姿が、消しても消しても浮かんだ……。

やがて、今一度、相見えたい心が募った。
抑えても、その思いは抑えがたく……。


……二人が思いを伝え合う場面です。




やがて、

林様は、結婚を申込みに登世の母の元へ……

……約束は何一つ、でき申さぬ。

……不自由な思いも淋しい思いもさせよう、
まして必ず幸せにするなどとは、到底口にできぬ。

……なれど……

生きていきたい、登世殿と共に。

……そうとしか、申し上げられぬ。



「共に、生きていきたい……」

こんな風に言われたら、幸せよね。

……こうして、二人は結婚。

けれど、嫁いだ林家には、役目の為ほとんど帰らない林様。小姑てつ、と共に夫を待つ切ない日々。



……屋敷に帰って来たのは3度きりで、

つかの間の逢瀬というのに、
声をかける隙もなくて、

すると、以徳様は私の前にわざわざ引き返して来てくれた。

「息災であったか、登世」


囁くような小声であったけど、
……その一言を私は、褒美のように胸に抱き締める。



……あまりにもけなげでしょう?

……二人の幸せな時はあまりに少ないのですが、


珠玉の場面がこちら……


久しぶりに数日間帰った林様の身体を、
拭いてあげる場面……

首筋から肩、背中にかけて拭く。手拭いはすぐに温かくなって、桶の水で濯ぎながら、己の動悸を静める。

太腿からふくらはぎ、踵まで拭き終えて見上げると、私はその裸身にたじろいだ。

隅々まで引き締まった、武神のようなさまに息を呑む。


少し脚を広げて立ったその姿は、寛いでいるようにも、
今にも弓矢をとって、矢をつがえそうにも見える。

……

立ち上がって、以徳様を見上げた。
気がつけば、以徳様の顔が近づいて、
私の頬に合わさった。

目を閉じて、ずっとこうしていられれば良いのにと思った


…………


以徳様は畳の上に大の字になった。
傍に行って揺り起こす。

……
すると、以徳様の手がいきなり伸びて、
膝ごと引き寄せられた。
頭を私の膝の上にのせて、

「うん、いい按配だ」と呟く。


……気がつけば、以徳様は私の膝を枕に寝入ってしまっていた。

横顔にそっと指を這わせながら、
このお方が天狗だなんてと、不思議な気がする。



…………こんなささやかな幸せの時はあまりに短くて、

二人の運命はあまりに苛酷なもの。

……

歌人として、名をなしてから、数知れず浮き名を流す、登世、改め歌子ですが、

生涯、夫を求め続けます。

内乱の中、生死がわからなくなった夫。

後に歌子が知った夫の最後……。


……以徳様は、数々の同士が自ら命を絶つなか、

命を擲つのではなく、生きようによって自らの義を全うしようと決意していた……。

命を擲つのが、美徳とされた時代のことです。
それは、険しい道であったことでしょう。



自らの信念を持って、生き抜く。

厳し過ぎる生き様は、

どこか、結弦さんに重なる気がして……。

強くひかれました。

……

登世は、生涯信じています。

夫が自ら果てなかったのは、
死ぬ寸前まで、自分の元へ戻ってくれるつもりであったから……と。

……

どんな男と浮き名を流そうとも、夫への恋情は尽きることがない。

……夫への想いが募り続けることに、愕然とする……。

……物語を彩る、数々の和歌。

歌子の血を吐くような夫への想いを詠んだものを一つだけ……。


君にこそ恋しきふしは習ひつれ

さらば忘るることもをしへよ


恋をすることを教えたのはあなたなのだから、
どうかお願いです。

忘れ方も教えて下さい。






……懸命に生きても、生きても、
一番いて欲しい人はこの世にいない……。

時代というには、あまりに苛酷な恋ですね……。



……

主人公 登世の人生のように

ページを進めるのが、辛くて苦しい、

それでも、進まずにはいられない。

恋することをやめられない。

そんな物語でした。

第150回 直木賞を受賞したこの作品。

文庫本になっています。

よかったら、ぜひ……。


いつか、この物語。

映画化なんて……?

それは、まだまだ先の未来の夢にとっておきましょう……。



……

まずは……

私達の恋する彼の生きざま。

とことん見せてもらいましょう。

また、惚れてしまいそうね……。





今日は本当に気ままな、
読書日記になっちゃった。

あまりにも、この本が好きになったので。
書きたくて。

お付き合いいただいて、ありがとうございますWハートWハートWハートWハートらら