act3 奴と同じ誕生日?奴達が友情出演
挿し絵追加しました
テリィ視点で書いてます
9月の中旬になってもキャンディは産気づかずにいつもと同じようにアードレー家で過ごしている。
俺は毎日気が気でならない。
キャンディの妊娠がわかってアメリカ公演が決定した時点で中旬からはシカゴ公演にしてもらった。
公演が終わったら毎日アードレー家に通い様子を聞いている。
日にちは今日で29日になっている。
アニーはちゃんと連絡するから今日はもう帰ってって言ってくれているがなかなか産まれずに落ち着かない。劇団員達のいるホテルに帰ろうとアードレー家を出ようとしたらしたら声が聞こえた。
ここからはアニー、アーチーの会話になります。
「キャンディは?」
「明日アンソニーの誕生日だから部屋に薔薇を飾ってるわ。だからテリィにはキャンディに会わずに帰ってもらったわ。」
「非常にヤバいな。このまま30日に産まれたら30日はアンソニーの誕生日なんだよ。テリィがそれを知ったら…。あいつキザ貴族はハンパないヤキモチ焼きだからな」
「ええー。そうね。明日だけは産まれないと良いけど」
「9月産まれだけでもかなりのヤバさなのに」その時にドアがいきなり大きな音を立てて開いた。
ここからはテリィ視点です。
「アーチーそれ本当か?明日がアンソニーの誕生日なのか‼️」
「そうだけど、キャンディの出産と関係無いじゃないか」
アーチーは焦るように俺に答えた。
「じゃあ、なんでキャンディは俺には言わないんだ。」
と俺が言うと、
「別に言わなくても良いじゃないか。聞いてどうすることでも無いだろ、落ち着けよ」
アーチーは俺をなだめた。
俺はアーチーの手を振りほどいてキャンディの部屋に行った。
キャンディは部屋に薔薇を飾っていた。びっくりして俺を見る。
「薔薇?キャンディなんで薔薇を飾ってるんだ?」
「アンソニーの誕生日だから…テッ、テリィに言おうか迷ってて。だけどあえて言う必要あるかわからなくて。」
俺はキャンディを壁に追い詰め両手で壁ドンして逃げれないようにした。
「死んだ奴の誕生日祝おうとしてたのか❗前も言ったろ、死んだ奴は帰ってこないんだって‼️もしかして、明日産みたいから計算して俺に抱かれたのか‼️バカにしやがって。みんなで俺を笑ってたのか‼️」
キャンディは顔色が真っ青で動揺している様子だった。
「違うわ。笑ってなんか無い。計算して妊娠なんてできない…わ。あっ、」
キャンディの体から水が出てきた。破水したみたいだった。
「お腹が痛い」
俺はアーチー達に助けてもらってキャンディを車で病院に運んでもらった。
病院はバタバタしてキャンディは分娩室へ入って行った。
アニーが「破水してすぐに産まれないと大変だわ」と言った。
俺は後悔した。いまだにアンソニーが関わるとすぐにカッとなる。乗り越えたはずだったのに。
日にちが変わって分娩室から産声が聞こえた。産まれた‼️
看護婦が抱いて俺たちの所へ連れてきた。看護婦が「抱いて上げて下さい。男の子ですよ。」と俺に渡した。赤ん坊は俺の方を見て笑ってる様に見えた。
俺は一睡もせずにシカゴ公演の千秋楽を無事に終えた。こどもが産まれたのは感動して心底嬉しかったがキャンディに会う気にはならなかった。
病院も打ち上げに行く気にもならずホテルに戻ってありとあらゆる物を投げつけてやった。そのあと寝たら夢にアンソニーが出てきやがった。
「テリィ、キャンディを泣かせないと約束したのに‼️キャンディが泣いてるじゃないか。君の子供を産んで幸せなはずなのにどうなってるんだ‼️」と俺に殴りかかってきた。
「キャンディが隠れて君の誕生日を祝ってるからだろ‼️」
俺は殴り返した。夢のはずなのにリアルに痛かった。
「君が9月生まれだからややこしいんだよ」
「僕はもうその誕生日は終わってるんだ。これからは君の子供の誕生日として…。頼むよ、キャンディを幸せにしてくれ。僕は君みたいに守ることができないんだよ。」
「俺の子供の誕生日として…」
俺はそこで目が覚めた。朝になっていた。フロントから電話がかかった。来客がきていると言われフロントまで行ったらアルバートさんがいた。
「やぁ、テリィ無事に公演終了おめでとう。今から一緒に病院に行こう。キャンディが話があるそうだ。」
“話が?もしかして離婚か?”
俺はそんなはずはないと思いながらジョルジュの運転する車で病院へ行った。
病院へ向かう途中アルバートさんが俺にこう言ってきた。
「テリィ、せっかく子供が産まれたのにアンソニーのことでどうしてもめるんだ、彼のことは乗り越えたって言ってたじゃないか」
「アイツ俺に隠れてアンソニーの誕生日を祝おうとしていたんです。ショックで」
「君はあんなにキャンディに愛されてるのに、まだわからないかな。妊娠したときキャンディがどれだけ喜んでいたと思ってるんだよ。」
俺は無言で返答をしなかった。病院に着いた。キャンディの病室に行くと子供が隣で寝ていた。
「テリィ…」
キャンディが元気のなさそうな顔と声で俺の名前を言った。
アルバートさんが「じゃあ、僕はここで。キャンディとしっかり話し合って。」
バタンとドアが閉まりキャンディと二人きりになった。
「テリィ、ごめんなさい。決して笑おうなんて思って無いわ。今年でアンソニーの誕生日を祝うのはやめにしようと思ってたの、本当よ。」
「俺にバレなかったら来年も祝おうとしてたんじゃないのか‼️」
「違うわ。テリィ、私たちもうダメなの?」
「キャンディはどうしたいんだ?」
「テリィと一緒に居たいに決まってるじゃない。子供と一緒に3人で。」
キャンディは泣いていた。
「昨日夢にアンソニーが出てきて怒られちゃった。僕はもう誕生日じゃないから祝わないでくれ、迷惑だって。テリィに謝れって言われたわ。」
アンソニーがそんなことを…。 参ったな嘘みたいに俺の怒りが収まっていく。
「キャンディ、来年からは俺たちの子供の誕生を祝おうな。アンソニーから俺たちの子供にバトンタッチだ。」
「うん。」キャンディはようやく泣き止んだ。
「子供の名前な、アルバートさんにできたらアがつく名前にして欲しいって言われてたんだ。男の子だったらアレクシス。守るっていう意味なんだ。」
「アレクシス、カッコいいじゃない。テリィ、あなたがいないと私生きていけないからずっとそばにいてね。」
キャンディが抱きついてきてそういった。
「もう浮気すんなよ。」
俺はキャンディの頭をポンポンしたあと顎を指でクイッと持ち上げてキスをした。
天上にて──
「やれやれやっと仲直りしたな。全く世話が焼けるふたりだよ。アンソニーご苦労様」
ステアが労う。
「本当だよ。まさか子供が僕と同じ9月でしかも同じ日に生まれるなんてね。ホントに迷惑だよ。テリィの嫉妬は相変わらず凄いね。」
笑いながらアンソニーが言った。
ステアは
「まぁまたふたりの愛の絆が深くなったワケだから良しとしよう。」
「そうだね。次は2年後に女の子が生まれるってなってるから眺めておこう。」
「女の子なんて生まれたらテリィめちゃくちゃ厳しく育てそうだよな。男が近寄ったら凄い目をしてにらみそう。」
「だよな。」ふたりは笑いながら話していた。
Fin