Timewind─自己を見つめる旅-100519_1132~01.jpg

『浮世の春の徒桜、風吹かぬ間も有るべきか』

謡曲「黒染桜」


徒桜は、はかないもの、移りやすいものを散りやすい桜に例えた言葉です。


『あすありと思ふ心の徒桜 夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは』

親鸞
「親鸞聖人絵詞伝」


明日があると思っていると、桜のように夜中の風で、はかなく散ってしまわないとも限らない。
今日、今の機会を失わないようにという戒め。


親鸞のオリジナルではないという説もあるようですが、松若丸(親鸞の幼名)が9歳で出家得度の際(前夜の説も)、読まれたとされています。



出家得度しようと青蓮院に着いた時は、すでに夜更け。
得度は時間もかかり、たくさん弟子を集めなければならないから、明日にしましょうという慈鎮和尚に、この歌を読んで答えた。


明日、桜を見ようと思っても、夜に嵐が来て散ってしまうかもしれない。
桜と同じように、私の命も明日はわからない。だから今、得度したい。
その心に打たれ、すぐに得度の準備をしたというエピソードが伝えられています。



『桜は散るが始まり。桜は散った時が終わりではなくて、散った時に既に次のシーズン目指してスタートしている』

轡田 隆史(くつわだ たかふみ、ジャーナリスト)

「スーパーJチャンネル」(2010年2月26日)、バンクーバーオリンピックで浅田真央選手が銀メダルに終わった時のコメント。


散って終わりではなく、次の春のために今から動く。次のために散る。
今を大切に、時を見て、しがみつかず、潔く生きる。
先人たちは、桜から、そうした生きざまを見てきたのかもしれませんね。