比較文化論とか文明の衝突とか、
基本的に大好物なのですが、
こんな本、
タイトルで即買いしてしまいます。
矢野道雄『星占いの文化交流史』(勁草書房)
2004年に著わされたもので、
いわゆる西洋占星術の起源からその成長過程を、
ギリシャ~エジプト~メソポタミア~ペルシャ~インドを中心に、
古代~中世の文化や科学の交流を追う内容です。
仏典を通じて中国や日本にも近世以前のホロスコープがあること、
近代ヨーロッパにイスラム科学が影響を与えただけでなく、
イスラム科学にインドの数学や天文学が与えた影響、
ホラリーやマンディーンのこと、
暦や、それぞれの文明圏での人間の関心事の違いと共通点等、
まぁ一冊で値段の3~4倍は楽しめる内容でした。
曜日の起源、
歳差との付き合い方の違いによる西洋とインドの違い、
南北ノードがなぜ双子座と射手座の品位に関わるか、
グレートコンジャンクションやアラビックパートの歴史、
…等、占星術をかじると湧く疑問の答えが、
ほぼ全て網羅されているような感じでした。
実測、計算、経験。
この3つが揃っていないと機能しないのが占星術であり、
それは今なお、
自然科学や実社会の現場からのフィードバックを受けて
進化し続けています。
4,000年とも5,000年とも言われる占星術、
これからも研鑽を積み重ねたいものです。