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「食べる女」(2018/東映)

 

 監督:生野慈朗

 原作:筒井ともみ

 脚本:筒井ともみ

 

 小泉今日子 沢尻エリカ 前田敦子 広瀬アリス 山田優

 壇蜜 シャーロット・ケイト・フォックス 小島聖 鈴木京香

 勝地涼 間宮祥太朗 眞木蔵人 ユースケ・サンタマリア

 

 おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★★☆

 
 
 
 
予告編や公開後のレビューなどを読んだ感じではスルーでもいいかなと思いましたが、やっぱり広瀬アリスはチェックしておきたいし、前田敦っちゃんと勝地涼の話題もあったし、地元のシネコンでの上映回数も昼間の1回だけになっていたので、シネコンのポイントで無料鑑賞です。
 
始まってすぐにテレビドラマっぽい演出だなと思って…オープニングタイトル後にメインキャストのクレジットなど…エンドロールで監督が生野慈朗だったことを思い出して納得です。
 
生野慈朗といえばあの「男女7人夏物語」を大ヒットさせ、80年代以降のTBSドラマの黄金時代を築いた名ディレクターですが、定年後もTBSに籍を置いているみたいですね。
 
で、この「食べる女」です。
え~っと「男女18人食物語」って感じですかね?
群像劇を得意とする生野監督ですからこういう作品に関われることは楽しかったでしょうね。
 
とはいえ、ベースとなるのは5人の女性…古書店店主にして作家の敦子(小泉今日子)・その担当編集者の圭子(沢尻エリカ)・小料理屋を営む美冬(鈴木京香)・制作会社のAP多実子(前田敦子)の4人が夜な夜な女子会を楽しんでいる敦子の家にひょんなことからアメリカ人の専業主婦リサ(シャーロット・ケイト・フォックス)が転がり込んでくる。
 
一方で多実子が通うBARのママ珠美(山田優)と店の客でショップ店員のあかり(広瀬アリス)を巡る物語とシングルマザーのツヤコ(壇蜜)の物語も絡んで、それぞれの恋愛事情が赤裸々に描かれていく。
 
彼女たちをとりまく男たちも一癖二癖ある感じで、どうやってこれだけの人数の交通整理をするのかと心配になるものの、実はそれほどエピソードを深堀しているわけではないので、意外とわかりやすいかも。
 
その辺が生野慈朗のうまさなんでしょうが、結果的にどこかテレビ的な演出に終始している感じもあって、誰か一人に感情移入するのは難しそう。
 
個人的に好きだったのは料理ができないため夫に捨てられたリサが、美冬の店を手伝いながら腕を上げていくエピソード。
女性目線で見るとそれぞれに刺さる部分もありそうですが、この作品に関しては男はカヤの外というか、やっぱり胃袋をつかまれたらアウトだよなと思う。
 
豪華な女優陣の演技はそれぞれのキャリア相応の味わいがあるし、脇を固める男優陣も実力派が揃っているので、最後までぶれることなくストーリーを楽しめました。
 
そして子役の女の子二人もなかなかの存在感で将来が楽しみな逸材でした。
一瞬だけど小島聖が母親役で登場したのも嬉しかったな。
 
それにしても女子会の舞台となる敦子の家(古書店)での雰囲気がどこかで見たような気がしていたけど、あとからテレビドラマの「ラブラブエイリアン」の園美の家のリビングの風景だと気づきました。
 
最近は学園を舞台にした青春群像劇で「虹色デイズ」や先に観た「あの頃、君を追いかけた」のような男目線の作品が続いていたこともあって、久しぶりの女性目線の大人の群像劇はとてもリアルな感覚も楽しめたと思います。
 
小泉今日子と鈴木京香のうまさは別格として共演陣も素晴らしかったですね。
沢尻エリカはこういう等身大の路線がこれからも続くのかなと思いますが悪くはないですね。
いろいろ叩かれていますがバイプレイヤーとしての前田敦子は今回も見事な存在感を見せてくれます。
広瀬アリスはどんどん演技の幅が広がっていくのが今後も楽しみですね。
そして「マッサン」以降も日本の作品に出続けているシャーロット・ケイト・フォックスもびっくりするシーンから始まりますがいい味を出していました。
 
ユースケ・サンタマリアの静かな演技や間宮祥太朗の雰囲気も良かったし、池内博之や小池鉄平もいかにもという感じの役柄で嵌っていました。
 
作品のテーマとなっている食欲と性欲は人間にとっての二大欲望だといいますが、自分のようなひっそり生活している人間にはあまり関係ないかな。
 
それでもグルメではない自分でも「リトル・フォレスト」シリーズとか「しあわせのパン」「きいろいゾウ」「娚の一生」といった脇役として食卓が映える作品は観ているだけで豊かな気持ちになるものです

 

けして万人受けする映画ではないでしょうが、劇中に登場するおいしそうな料理の数々も含めて、疲れたときに観ると幸せな気持ちにさせてくれるのではないでしょうか。
 
エンディングも素敵でしたね。
明日の朝はやっぱりあのメニューかな。
 
 
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