「ラプラスの魔女」(2018/東宝)
監督:三池崇史
原作:東野圭吾
脚本:八津弘幸
櫻井翔 広瀬すず 福士蒼汰 志田未来 佐藤江梨子 TAO
玉木宏 高嶋政伸 檀れい リリー・フランキー 豊川悦司
おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★☆☆☆
いつの間にか三池崇史監督ということで眉唾モノというイメージが定着しているようですが、今回は主演が嵐の櫻井翔でヒロインに広瀬すず、原作は東野圭吾ということで、映画好きにはやや悩ましい作品になりました。
まあ三池崇史という名前がある意味で踏絵みたいなキーワードになっているわけですが、地雷だとしてもとりあえず観ないと文句も言えないし、稀に個人的にはあたりの作品もあったりするし、一応広瀬姉妹は好きなので観ておかないと…。
やっぱり地雷踏みました。
なんだろうなー、もはや三池ワールドですらないこの淡白な感じは。
予告編ではサイエンスミステリーみたいな雰囲気も漂わせていましたが、やはり三池崇史には謎解き物は向かないみたいですね。
確かテレビで紹介されたとき「三池作品だと気づかない」なんて話も耳にしていましたが、なるほど納得しました。
三池監督らしい外連味もなければ、あざとさもないし、お得意のハッタリも不発…最後の方でちらっと見受けられましたが…とにかくのぺーっとしたというか、主演の櫻井翔の演技同様に淡々と進むストーリーに退屈すること間違いなし。
おそらく撮影期間において主演の櫻井翔の拘束時間が恐ろしく短かったんじゃないですかね?
よく考えると彼が出ていたシーンってものすごく少なかったし、そのシーンも長々と説明的な別のシーンが挿入されたり、あるいは無駄にアップの多用などで水増しされていたり、これといってアクティブな演技がなくても済んじゃう感じでしたね。
そもそも演じる側もエモーショナルなシーンがほぼ皆無で、リリー・フランキーも含めてひたすら語って時間を稼いでいるような印象しか残らない。
終始映像で魅せようとかそういう気概が映画から感じられないんですよね。
これは確かに三池崇史の映画じゃないなと思います。
残念だったのは広瀬すずにとっては19歳という若手女優としてとても貴重な時期の作品なのに、彼女の魅力を一ミリも切り取れていないのはいただけない。
エピローグでびっくりするくらい大人な広瀬すずが見られるのはよかったですが、それ以外に彼女の見せ場もあまりなかった気もします。
今回は原作は読まずに観たわけですが、東野圭吾ミステリでは定番となっている時間軸が前後する展開もちょっとわかりにくいし、最初の事件が起こる温泉地も含めて、登場人物たちの移動範囲もイメージできないのも残念。
メインキャスト以外では玉木宏演じる刑事はいいアクセントになっていたと思います。
トヨエツの怪演もありましたがちょっと見せ場を作りすぎで最後はうんざりかな。
最近本格的に女優業再開のサトエリも朝ドラ「半分、青い。」に続いて残念な感じ。
そんな中で面白かったのが志田未来演じる研究室の女性スタッフ。
予告編でも気になって「誰だろ?」と思っていましたが、本編で志田未来と知ってなるほどと。
あとは番宣でけっこう頑張っていた高嶋政伸が「いつもの…」と思っていたら結果いい人で驚きました。
それはそうと発端となる二つの事件のからくりをまったく見せてくれないままなのはどうなのでしょ?
原作はどうなっているのかわかりませんが、観終えて真っ先に「あれ?トリックは?」って思わせちゃう映画ってやっぱり観客に対して不誠実ですよね。
良くも悪くも次作は三池崇史らしい映画で勝負してほしいものです。
ユナイテッドシネマ前橋 スクリーン5