「夕涼み会に、りょうくんも連れていこう。」
私がそう言うと、空気が固まった気がした。





こうくんとなっくんが通う保育園では、お盆明けに「夕涼み会」と呼ばれる夏祭りがある。

それに、今年はりょうくんを連れて行きたいな、と思っている。





年長さんのこうくんは、最後の夕涼み会。

りょうくんも一緒に行けば、こうくんが担ぐお神輿をみんなで見られる。
(逆に行かないと、私かパパはお留守番)

毎年のことで、大体の様子は分かっているし、きっと大丈夫。

子供達が大勢でワーワーしている環境は、りょうくんにもいい刺激になるはず。

そう思っての提案だった。






それが、パパもこうくんも無言・・・・・
色々言っても、何だかはっきりしない答え。



あれ?ダメだった?・・・・・・








りょうくんを、保育園の先生方や、こうくんのお友達、そのお母さん達に知って貰いたい。

そういう気持ちもある。

いつも、話だけの次男。
こうくんのお友達にも、何度か「お家にも赤ちゃんいるんでしょ?」と聞かれたことがある。

それに、なんとな~くな答えしか出来なくて。

「うちにはもう1人いるんだよ!」
そう、声を大にして言いたいのかもしれない。






1番に考えるべきは、こうくんの気持ちかな?
こうくんも、私と同じ考えとは限らない。


喉に穴があいている弟。
機械が繋がっている弟。
お喋り出来ない弟。
お座りも出来ない弟。
お腹からチューブが出ている弟。
耳にも機械がついている弟。

もうすぐ4歳なのに、赤ちゃんみたいな弟。




なっくんのこと、こうくんのクラスのお友達は、いつも「かわいい」「かわいい」と言ってくれる。

もう1人、かわいい弟いるんだよ。

私はそう言いたいけど・・・・



こうくんは、もしかしたら、りょうくんのことお友達に見られるの嫌なのかな?



・・・・・・・・・・








その後、パパがいない時に、思い切ってこうくんに聞いてみた。

「こうくんは、りょうくんのことみんなに見られるの・・・嫌?」



そしたら。






「なっくんのこと見られていいのに、
りょうくんのこと見られて駄目な訳ないよ。」


さらっと。

そう言ってくれたのだった。






もう、言葉が出なかった。

感動した。

そんな風に思ってくれてるなんて・・・・




最近、なっくんをかわいがっている分、りょうくんとは距離があるように思えて、
「こうくんはりょうくんのことどう思ってるのかな?」と気になっていた。


こうくんのこと、見くびってたな・・・




まだ、他人の目をひどく気にする年になっていないだけなのかもしれない。

それでも。

そう言ってのけたこうくんに、心から拍手。

心からありがとうを言いたかった。




その後、こうくんらしく、蛇足で

「お母さんだって見られていいし、お父さんだって見られていいし、おばあちゃんだって見られていいし、おじいちゃんだって・・・・・」

と続けていた。




もうすぐ6歳。

これから先、もしかしたら、りょうくんのことで色々あるかもしれない。

好奇の目で見られることに、嫌気が差す時もあるかもしれない。

それでも。
りょうくんのことを、今のようなフラットな気持ちで考えられるこうくんであって欲しい。

なっくんと変わらない、かわいい弟だと思っていて欲しい。




そんな気持ちに、希望を持たせてくれる、こうくんの言葉だった。