1234分江津発の三次行きは、浜田を出た時点で80人の乗客があるとのアナウンスがあった。駅のホームにも人が溢れている。3時間半も立ちっぱなしだと思うとぞっとした。案の定2両編成の列車は満員で、立つ場所にも苦労するくらいだった。幸いにも最後部へ押し出され、後面展望が望める場所になった。帰りは寝ることなく、否応無しに線路を眺める事になった。江津を出て暫くしても一向にスピードが出ない。後で調べたら制限速度30km区間がやたらと多かった。窓ガラスは相変わらず曇ったが、隣のおじさんが親切にも拭いてくれた。右に江の川、左に崖を見ながらのんびりと列車は走っていく。線路を見ていて気づく事があった。最初の頃はレールが枕木に釘で直接とめてあったが、途中で板バネを介して固定され、さらには枕木がコンクリートへと変わっていった。

枕木がコンクリートになった頃には列車のスピードも出るようになった。すると、横にいたおじさんが「そこにスピードメーターがあるから見てごらん、90kmくらい出てるよ。」と言うのでスピードメーターを見ると80kmは出ている。「さっきと随分違うなぁ」と呟くと、「浜原、口羽間は昭和50年頃にできたから、高規格で建設されているから新しい。」確かにこの景色は廃線寸前の鉄路ではない。三江線は江津~浜原、三次~口羽が先に開業し長い間、三江北線、三江南線に分かれていたようだ。

途中、ツアーの団体客が乗ってきた。満員が超満員になる。団体ツアーの旅行者もこんな満員電車に乗ってもつまらないのではないかと、余計な心配をした。3時間半の立ちっぱなしは膝に堪えたが、自分の中で何かにスイッチが入ったような気がした。元々鉄道が好きであったが、長年関わることも無く頭の片隅に追いやられていた。いつか乗りに行こうと思っても中々踏み出せないでいたが、今年から鉄ちゃん再開である。次は木次線あたりを攻めてみようかと思っている。