

香川県の温泉で前から行ってみたいところがあった。それが今回訪れた「黒川温泉」である。お湯が良くて昔からある所は、施設もそれなりでまさに昭和の趣の感じられる所が多い。自分は一向に気にしないが、現代人である子供たちにとって施設の古い所に行くのは一種の賭けのような所がある。今では当たり前のようになった、部屋付きトイレやエアコン、何よりも清潔感が一番の様だ。

宿に着いてから女将さんから、露天風呂を勧められた。露天風呂は宿から100m程歩いて行った所にある。周りは既に暗くなっており、薄暗い街灯をたよりに、橋を渡って対岸の露天風呂へ行った。浴衣とその上に羽織ったちゃんちゃんこだけでは肌寒かったのもあって、風呂に入るとそこは至高のひと時となった。


お湯は僅かに硫黄の香りと独自の土の様な香り。若干のヌメリもある。良泉だ。もちろん塩素臭等しない。これが源泉そのものだと思うが、どうだろう。給湯は掛け流しのスタイルをとってはあるが、熱い湯は浴槽内の給水口から供給されている様だ。

成分表に寄ると成分が薄いので療養泉になっていない。この中で特筆すべきはやはり、遊離硫化水素0.0024gだろう。硫黄成分は温泉らしさを最も演出するものだ。PH7.8は弱アルカリ泉。肌に纏わり付く様なヌメリと相俟って、温泉気分は盛り上がる。


この後内湯にも入る。内湯には蛇口があって、冷たい方からは源泉が出ている様だ。蛇口をひねると源泉から硫黄臭がしてくる。しばらく源泉を注いで掛け流しを楽しんだ。ただし、あまり長時間やっているとお湯が温くなってしまうので、程々にしておいたが。

宿の料理は刺身、天ぷら、鮎の塩焼き、酢の物、水炊き、そば、等普通の食事だったが、これがまた良い。可もなく不可もなくがいかに安心できるかだ。値段を考えればとてもリーズナブルであると思う。なにせ一泊7800円だから。

次の日は雪が降っていた。対面には第三セクターが経営する白鳥温泉が見えた。温泉通の人に言わせると、ここ黒川温泉とは似ても似つかないお湯で、温泉は今一だそうだ。同じ場所にあってもお湯が違うというのはよくある話だ。また機会があれば白鳥温泉にも行ってみたいと思う。やはり自分の目で比べてみたいので。