小学校3年生まで熊本県菊池市に住んでいたので、子供の頃の電車と言えば菊池電車(元熊本電鉄)、ちんちん電車(熊本市交通局)だった。電車が好きで運転席のすぐ後ろの席に座る事ができたら、進行方向の車窓を見て興奮し、いつまでも飽きることがなかった。いつかは電車の運転手になることを夢見る、鉄道ファンの一人でもあった。

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 特に市内を走る路面電車は運転台が近くで、運転の様子が間近で見られた。「気圧4.5発車!」気圧計を確認してから発車する。マスコンを少しずつ回し加速する。ある程度速度が出たらマスコンを戻し惰性走行に入る。ブレーキはエアーを送っては抜いてを繰り返すため、煩雑にレバーを動かして停止する。ブレーキは難しそうに見えた。

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 平成24年10月7日(日曜日)、長年の夢が叶う日が来た。熊本市交通局が年に一度開催している「市電運転体験イベント」では実際の電車を運転することができるのだ。約100mのコースを2往復。指導して下さった方は「物足らんかもしれませんが、、、。」と言われたが、素人にとってはとてもありがい企画だった。

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 最初に運転の講習があった。今回の使用車両は1060形。昭和26年製で現役最古参、しかも塗装も当時の物。自分が子供頃よく見かけた同形である。現在は電車の運転も簡易化されてきており、マスコンとブレーキ弁を組み合わせた初期型は減ってきている。レトロ車両はそれだけ運転が難しい。まさか、このタイプが運転できるとは思ってもいなかったので、もう感動もピークだった。

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 本物の運転台に初めて座る。最初は1080形(昭和30年製)でレバーシングハンドル(前進、後進)マスコン(主幹制御器)とブレーキ弁の操作を学ぶ。マスコンはノッチで区切ってあるが、きっちりノッチに止まらない事もある。もう少し「止まり」があると思ったが、長年の使用で緩くなってる?のかもしれない。「ノッチにきっちり合わせなかったらどうなるんですか?」とバカな質問をした。すると担当の人は「ノッチ間に止まっとると漏電して、バチバチって音がして火花が出ます。そうして火事になります。」と何気もなく答える。おいおい、とても怖い話じゃないか。

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 さて、それでは本番。緊張の瞬間だ。まずレバーシングハンドルで「前進」に。フットペダルで警笛を鳴らす。「出発~!」エアー排気(ブレーキ解除)。マスコン1ノッチ、電車が動き出す。加速、2ノッチへ。何キロ出てるのかスピードメーターなど見る余裕はない。おそらく15㎞/hぐらい?マスコン、オフ(断)。惰性走行。ゴールが見えてくる。怖いのでブレーキをかけようとするが「まだ、そのまま。」暫くして「ここからブレーキ。」ブレーキ弁を右に振ってエアーの給気を行う。そして直ぐに正面に戻し、エアー圧を一定に保つ。ググッとブレーキがかかる。少ないエアーでも思ったよりブレーキが効く。段々ブレーキが強くなってくるので、若干左に振ってまた正面に戻す。するとブレーキがやや解除される。また停めるために右に少し振ってエアーの給気。綺麗に停止した。停止した瞬間、
「うまかですね、なんか運転した事ありますか?」
「ゲームではやったことはあります。」
左右にいた指導者が揃って「初めてですか?」「上手い、上手い。」と褒めてくれる。
仕事と違って趣味だったらお気楽におのぼりさんになれる。とても気分が良い。
「明日から、うちでどうですか?」と最上級のお褒めの言葉も頂いた。
緊張から解放され、達成感と満足感、それに加えてちょっとだけ優越感も味わえた。何とも贅沢な時間を過ごさせてもらったと、感謝せずにはいられなかった。

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※熊本市交通局の担当者の方々には大変お世話になりました。