天文館の電車通りでタクシーを拾って「湯乃山温泉に行って下さい。」とお願いした。すると「湯乃山温泉?たぬき湯じゃないよね?」「湯乃山温泉です。」「たぬき湯は有名なんだけどね。」どうやらたぬき湯は有名で、湯乃山温泉は有名でないらしい。たぬき湯でも良かったが、折角教えてもらったから湯乃山温泉に行こうと思った。「西郷さんが最後に自決した所、確か西郷隆盛終焉の地だったかな?そのすぐ近くです。」と言った所、運転者さんが無線で場所を聞いてくれなんとか行く事が出来た。その運転手さん、とても愛想が良くよく話しかけてくれたが「温泉、いいよね~。良い温泉は垂れ流しじゃっどんも(?)。」「たぬき湯いがーも、おっちょん××だっど、××しゃ~??」たれ流しから始まった温泉論に興奮のあまり、方言がどんどんひどくなって、最後の方は殆ど意味が分からなかった。
湯乃山温泉は派手な看板もなく、山の斜面にまるで宿舎の様な佇まいを見せていた。道路から少し入っており、道を通っただけではこんな所に温泉施設がある等知る由もないだろう。入浴料は500円。一般の銭湯とは一線を画している値段だ。浴場には先客が一人いた。浴槽は内湯のみ、露天風呂など無い。洗い場にはシャワーは元よりカランもなく、浴槽のお湯を汲んで洗髪したり身体を洗わなければならない。まったく以てシンプル、おー、マニアックだ!お風呂に来た人はここで呆れてしまうかも知れない。然し、温泉好きはこの時点で大いに期待が膨れる。お湯に自信があるからこの設備であの値段だと。
お湯は紅茶色、すべすべした肌触り、湯感、こういうのをモール系温泉と言う。鹿児島市内でこれだけ違う系統の温泉に出合えるとは驚きだった。ゴムホースが2本、天井から浴槽に入れてあり、ここから源泉がばんばん注ぎ込まれていた。このアバウトさも良かった。湯温は若干熱めだったが、隣に水風呂があったので交互に入って源泉を楽しめた。こちらも結構長い時間お湯に入っていたが、先客のお兄さん(30代前半ぐらい)は洗身しては浸かり、髭をそっては浸かり、また洗髪しては浸かり、水風呂に入っては浸かり、こちらも1時間くらいはいたが更にその上を行く人だった。
どうしても湯船の写真が撮りたかったので、この人に声をかけた。するとその人は頭にシャンプーを付けたままで、こちらにやって来て話し始めた。「観光ですか?ここのお湯は良いですよ、最高です。圧力をかけて源泉をくみ上げてそのまま入れてますから…云々。」温泉のちょっとした説明が始まった。相当ここの風呂が好きなのが伝わって来た。
湯乃山温泉から近くの城山温泉長寿泉に向かう。距離で言うと200~300m位だったが強烈な坂道で足がつりそうになった。たった今風呂に入ったばかりなのに汗びっしょりになってしまった。この長寿泉のすぐ横にも西郷さんゆかりの名所「西郷洞窟」があった。然し、観光気分ではなかったので長寿泉に入った。ここは鹿児島市内の銭湯と同じく360円。勿論サウナ付き。
お湯は先ほどの湯乃山温泉のお湯が個性が強かったので、あまり特徴を感じなかった。それでも前日の銭湯と同じく温泉なのは分かった。もう湯疲れしてしまったのかもしれなかった。
ここから城山観光ホテルまでやはり200~300m位だったが、更にきつい坂道、階段になった。やっとこさ城山観光ホテルにたどり着いた時にはへとへとになっていた。それだけに城山から見える桜島は感動ものであった。ホテルのラウンジでビールを飲んだ。余力があればこのホテルの風呂にも入っても良かったが、もう風呂はいいでしょう、と言う感じになった。ここの露天風呂から桜島が望め、展望は最高だそうだ。それはまた次の機会で。
















