ふと…

35年前に別れた彼が気になり地元だと言うこともあり彼のお母さんに連絡を取ってみた。

「もしもし?私分かりますか?」

「もちろん!今の状態知ってる?」と

「末期ガンなのステージ4なの!助けて!連絡入れてあげて、あなたは初恋の人だから」

(いやいや35年前に別れて、それから会ってもないし)内心そう思った。


彼とは8年近くも付き合い年齢も20歳くらいだったので、結婚するものだと思っていたから別れは辛かった。

私はその後

人を好きになることに無意識にセーブしていたのかもしれない

そんな私も27歳で結婚もした。

(適齢期も重なり焦りもあった)

再会した年

私は54歳

でもなぜか…

元彼の誕生日だけは忘れず別れた後も誕生日がくると心の中で「お誕生日おめでとう」と彼と再会するまで欠かさず言っていた。

その彼が末期ガンステージIV

いても立ってもいられずお母さんから連絡先を聞き電話した。

懐かしい声

「大丈夫なの?」

「お~何とかなぁ~」

「今から会いに行ってもよい?どこに住んでるの?」

お互いに照れがあり、しどろもどろ…

35年も立つと姿かたちも変わり

(え?こんな人好きだったの?)と通常なると想定していたが

大丈夫なの?と自然とハグした

彼のどこが好きだったのか、うっすらとしか覚えていない

でもハグした瞬間

(あっ…何この懐かしさ、この心地よさは?)

後から分かった事だが

彼も全く同じ感覚だったらしい


そして元彼は10代の頃も感じていた寂しげな瞳

その瞳だけは35年離れてても変わらなかった