
かように声からし鳴くものはたれぞ?
あれは、小夜鳴鳥でございましょう
かつて、皇帝に寵愛されし鳥にございます
なぜ、あのように苦しげに歌っておるのか?
隣国の王より献上されし機械じかけの黄金の鳥に己が寵愛奪われたからでございましょう
皇帝は、金色の鳥にご執心でごさいます
さようであったか…だが、なんと美しい歌声よ
この世の、どの楽の音より胸にせまりくる
その歌、眠れぬ子らを夢に誘い
疲れた農夫を癒す音
いつしか、小夜鳴鳥、皇帝のもと離れ飛び立った
機械じかけの黄金の鳥、
しばらくして、壊れ、首を傾げ止まったまま
ようやく、小夜鳴鳥思い出す皇帝
悲嘆に暮れ、病にふす
皇帝、永遠の眠りにつく時、
どこからか小夜鳴鳥が歌っていたという
それから二度と、現われることはなかった