昨夜は太宰治の同名短編小説をベースに脚本が書かれた、

根岸吉太郎監督の「ヴィヨンの妻」を観た。

根岸監督作は「サイドカーに犬」と「雪に願うこと」を拝見しており、良作だったので期待感を持って観た。

あらすじは、戦後の混乱期 放蕩三昧の作家大谷(浅野忠信)を健気に支える妻佐知(松たか子)が、大谷が通いつめていた飲み屋椿屋の運転資金を盗んで逃げてしまい

これまでの飲み代の借金も返済する為に椿屋で働く事になるところから始まる。

太宰を彷彿とさせる大谷。狡くて、でもどこか憎めない自分勝手な男を浅野忠信さんが好演していた。

浅野さん自身はあまりお酒はたしなまない筈だが、酔いどれの役がよく似合う。

深津絵里さんも綾瀬はるかさんもお酒をあまり飲まないらしいが、そんな方ほど酒飲みの役がうまいのは面白い(笑)


だが、何よりも今作は松たか子さんの演技が光っていた。

健気にダメ亭主を支えながらも、飲み屋で働き始めると生き生きと水を得た魚のように闊達に動いている。


柳の木のようにしなやかな強さで辛い現実を受け止め、女性のしたたかさも見せながら力強い生命力を見せている。

母と観ていたのだが、現代ではこんな女性は稀有な存在だね~

今の時代なら即離婚だろうね(笑)と話していた。

でも、佐知のしなやかな強さには惹かれるものがあった。

監督は「人間失格」も製作しようか考えていたようだが、脚本化するのに難しく断念したらしい。

太宰の小説は映像化するのは難しいと別の監督も言っていたなぁ…

映画を見終わって

つくづく男と女の関係は奥深い永遠のテーマだなぁ…と考えさせられた。