ウチはずっと母親に片思いしてた…

母は子供の頃に両親を亡くして15で自立してた。

生きるのに必死やったと思う。

10代の時、同年代の父親と出会って結婚して子供を産んだ。

お互いに若くて生活するだけで大変やったと思う。

両親とも親を早くに亡くしてて子供には淡白やった。

愛し方を知らんかったんやな。虐待された人が自分の子供にも虐待してしまうように。一概には言えんが。暴力を学んだ子は暴力を振るってしまう。
愛されなかった子は愛し方が分からない。

だから、ウチが小さい頃を思い返すと暗い部屋で独りぼっち、日が暮れていく中ひたすら親を待っていた…そんな事しか思い出せない。

保育園の送迎バスで親が同伴してないのはウチだけやった。みんなお母さんが迎えに来てくれてたけど、ウチはいつも独りやった。

でも、それが普通の事やと思ってた。

父親が家に寄り付かんのも、母親が相手にしてくれんのも。

だから、寂しいと感じた事がない…


読書が大好きだった。本の世界では独りでなかったから。大好きな本は何十回も読んでた。でも、いつも空虚な思いを抱えてた。


大人になってやっと気付いた…。

自分は母に抱きしめてほしかった、頭を撫でてほしかった、話を聞いてほしかった、愛してほしかった。

大人になるまでこんな簡単な事に気付けなかった。

ただ、ただ、母に愛されたかっただけ。

たったそれだけの事。
ウチはずっと母に片思いしていたんや。

子供の頃、お月様がキレイで母に伝えたくて、伝えたくて「お母さん、お月様がとってもキレイだよ。」って興奮しながら言ったら、それがどうしたって言われた。

それ以上何も言えんかった。

ただ、「そうだね」って言ってほしかっただけやった。


思春期の時は、割り切って親は金づるって思うようになった。お金さえくれたら他は何もいらんって…

だから、学生の時は金に困らんかった。欲しい物があれば、どれだけ高かろうが買えた。

でも、いつも空虚だった。

何でこんなに虚しいのか分からなかった。

つきあう人を傷つけてしまうのも、どうしようも出来なかった。


身も心もボロボロになってた時にイエス様に出会った。


その時、やっと自分があふれるほどの母の愛を欲していた事に気付かされて号泣した。


お母さん、私は、あなたにあいしてほしかった…ふりむいてほしかった…

ロボットが人間に変身出来たようだ…。

今は、片思いが両思いになったと思ってる。

昔の名残でなかなか本音や弱音が言えないが、それでもウチは満足や。

私は母を愛している。