駅の構内でホームレスのおっちゃんをよう見る。

垢や埃にまみれ伸びるがままになった髪。

擦り切れてボロボロになった服。

皆が避けて通り過ぎる。存在すらしていないかのように。

私は見ずにはいられない。

そして、いつも頭の中で様々な思いがよぎっていく。

この人にも赤ちゃんの時があったんやなぁ。親に望まれて生まれたんやろか。可愛がってもらえたやろか。

結婚はしたんやろか?家族はいてるんか?
家族は心配してへんか?

どこでどう歯車狂ってここにいるんやろ?


様々な想像で頭の中がいっぱいになる。

他人事ではないのだ。自分もいつ歯車狂って段ボールの家に住む事になるかもしれん。


子供の頃、まだホームレスって言葉はなくて、家のない人は乞食と呼ばれていたと思う。

荷車引いて乞食のおっちゃんが、ただただ歩いている姿を見てるだけで哀しい気持ちになったんを覚えている。

好きな作家の一人である宮尾登美子さんの「一弦の琴」が その事を思い出させる。

旅人の亀岡さんに主人公の苗が抱いた思いと似ている。

あてもなく漂泊して暮らす人へ、人生の頼りなさ、虚しさ、哀しさを子供心に感じていたように思う。


今年の冬は寒くなるって言われとるなぁ。

おっちゃんは春を迎えられるやろか…