雑事を終えて、ソファーに座りコーヒーを飲みながら窓の外を眺めていたら、何故か以前観た映画「嫌われ松子の一生」と共にルオーの「聖顔」の絵が頭によぎって、様々な思いが巡ってきた。

ルオーは19世紀~20世紀半ばまで活動されていたフランスの画家で私の好きな画家の一人でもあります。

画題には娼婦や道化師、サーカス芸人など社会の底辺にいる人達をよく描いていましたが、彼が生涯をかけて描いた画題がキリストであり、故に宗教画家とも呼ばれています。

そんな彼の沢山の版画や油彩画の中で一番心に焼き付いているのが、イエスキリストの顔をキャンパスいっぱいに描いた「聖顔」です。

その絵のキリストはルオー独特の骨太の黒い輪郭線で描かれ大きく目を見開き、その瞳は泣いているように見えるのです。

まるで、愚かで悲しい人間を哀れんで愛され慈しむばかりに…

「嫌われ松子の一生」の松子もそんな愚かで悲しい愛すべき人物だったなぁと…

ただただ、愛を欲して不器用に無償の愛を与え続けた松子。

そんな松子を「聖顔」のキリストが哀れんで見つめているという…そんなイメージが頭に浮かび、しばらくボーッとしてました(笑)