3月18日にチュニジアの国立博物館でテロがあり、

21人が殺害されました。


1月には、パリでもテロがありました。


このニュースを見て13年前に見た
マルセイユの移民の人々の目の表情を
思い出しました。


その目には、怒り、悲しみ、恨み、差別など
いろんな事を、当時20歳の僕に訴えかけている様に感じました。




フランスにいたときは、
ビザが1年間しかなく、
日本に戻って働き始めると、
もう来れないかもしれないと思っていたので、
毎週末必ず食べ歩きに出かけました。


当時のミシュラン三ツ星21軒全部と
二ツ星、一ツ星を数十軒と、
食べ歩きました。


だからフランス全土をレストランに行くために周りました。


ただマルセイユは僕が周ったフランスの都市の中で、
とても独特でした。


マルセイユに行ったのは、当時二ツ星だった
ル・プティニース(現在は三ツ星)に行くためでした。


マルセイユの駅に降りて町を見たときに、
ほとんどが移民の人々で、こちらを見る目の表情が、
今も目に焼きついています。


食べ歩きに行ったレストランでは、
いつも調理場を見せてもらうのですが、
調理場には有色人種はほとんどいなく、
もしいてもほぼ9割が日本人でした。

僕が働いていたラムロワーズも同様でした。


でもプロンジュ(洗い場)には必ず移民がいて
そのほとんどがアフリカ系移民でした。



日本の飲食店などだと普通一年目の若い人が洗い場をやり、
鍋や皿を洗いながら、なべ底に残った
ソースを舐めて味を覚えるみたいな事が
あるらしいのですが、フランスではそれはありません。


プロンジュは別の仕事で特定の人がやるもの、
その特定の人が移民の人でした。




現在のフランスは、
料理人という仕事がきつくて低賃金なので、
フランスの若者たちが料理人にならなくて、
調理場にも移民の人がいるみたいなのですが、
根本的に白人が嫌がる仕事を
移民にさせるという構図には
変わりがありません。



日本にいたときは人種差別というものを、
一切体験せずに育った僕からすると、
フランスにいた一年間は衝撃的でした。


ヨーロッパは全体的にそうなんですが、
フランスでは人種差別規制法があり、
人種差別を肯定する発言は犯罪になるので、
言動で差別された経験はないですが、
行為で差別されることが多々ありました。


とくにまったく知らない人から差別されると、
かなり傷つきます。


そうすると仲のいい仕事仲間ももしかして、
心の中では差別しているのではないかと
疑心暗鬼になってしまい、
フランス人に対して人間不信になりました。



ただ日本人はアフリカ系移民のように
職業選択の自由がないぐらい差別はされないので、
アフリカ系移民からも日本人

(経済的に豊かな人が多いからかもしれませんが)、
何か別の人的なグループに入れられているような感じです。


おそらくそれが僕がマルセイユで感じた
目の表情なんだと思います。




ジョンレノンのイマジンや
ボブマーリーのワンラブ
を聞くと感動するし理想を感じるけど、
現実はとても厳しく人種差別だけでなく、
冷戦などの戦争も、
サブプライムローンなどによる経済不況も、
すべて疑心暗鬼が原因で、
あと宗教もこの問題と絡み合い、
解決は不可能に近いぐらい困難に感じます。



だから僕の中での結論は、

とても消極的だとは思うのですが、
できる限りみんな別々な場所で
あまり関わらないようにして暮らす以外
今のところはないように感じます。




フランスは不法入国している移民も大勢いるので、
正確な数字が分かりませんが

現在の人口の約6000万人中、
約1000万人ぐらいは

移民又は移民出身だそうです。


この問題はフランスだけの問題だけでなく、
EU諸国全体の問題になっています。


労働力を移民でまかなうのは、
結果的に失敗だとEU諸国が

教えてくれているのだと思うのです。


それにこれからの時代、

おそらくITとロボット技術の発達により、
労働力人口よりも労働力の質が

問われる時代になっていくと思います。


僕ら料理人の世界でもそれは広がっていて、
寿司業界はロボットが握るようになり、

あと冷凍技術の向上により、
本当に質の高い人以外は生き残れなくなっています。



日本はたまたま島国であったために、
歴史的にも移民が入りにくい国だったのだから、
いくら人口が減ろうが、GDPが落ちようが、
移民を受け入れないほうが良いように思います。



堺市泉北のフランス料理店 カウンターフレンチ レストランマヴィ