今年の9月の半ばから後半だけ
急激に暇になりました。


予約が全然入っていなく、
うちの店は80%ぐらいは
直前の当日予約か予約なしのお客様なので、
少し暇になるかなと思っていたら、
それもほとんどありませんでした。


確かに毎年この頃になると
おそらく地域の祭りの準備があったりするためか、
少し暇になるのですが、今年はひどく、
その上、オマール海老の水槽のクーラーが
壊れて買い換えたため経費がかさみ、
ダブルパンチで、経済的にも精神的にも
とても厳しくなりました。


でも10月1日になったとたん、、
急に忙しくなり
何とか正常な状態にもどりました。



僕は人生で起こることに
偶然はなくすべては必然だと思っているので、
これはどういうメッセージだったのだろうと考えると、


「結果は努力のおかげ」というのは正確な表現ではなく、
「結果は努力と関連性がある」が正確な表現だという事に気がつきました。


というのも努力のおかげと言うと、
結果に対して80%以上、
言い方によっては、
ほぼ100%のようにとれるからです。


僕で言えばどんなに仕込みを
努力しようとも、
その時にお客様が来てくれないと、
何も良い結果を生みません。


それどころか、日にちが経てば
まったく使えなくなり廃棄するか
自分で食べるかしかなくなり、
どちらにしても経費が無駄にかかり
経営を圧迫します。



今、世界で70億人以上の人が生きていて
その個人個人が出す結果と言うのは
多かれ少なかれ関わって影響を受けあっている。



うちのお店で一番出るワインはチリ産のワインなのですが、
その理由はコストパフォーマンスがとても良いからです。


なぜコストパフォーマンスが良いのかといえば、
チリワインは19世紀半ばにヨーロッパの産地を

襲ったフィロキセラの影響で、
フランスで職を失った専門家の多くが
チリに渡った歴史があり品質が良く、
チリの人は先進国に比べ低賃金なのと

チリと日本はEPAを結んでいて関税がかからないからです。


食材もその日に良いものが手に入るかによって

料理にかなりの影響を及ぼします。


あとフランス産の物もたくさん使っているので、
火山が噴火したりなど、いろんな災害で
フランス産の物が空輸できなくなるだけで、
うちのお店はかなりのダメージを受けます。


この事と僕の努力は関係は無い訳で、
でも結果、恩恵を受けています。



もっと元をただせば、
辻調理師専門学校にいけたのも、
フランス校に行けたのも、
母子家庭の中、
必死でやりくりしてくれた
母親のおかげだし。


ラムロワーズで働けたのも
フランス校の先生が
僕を選んでくれたからですし。


タイユバンロブションで働いて、
まだ二十歳そこそこの僕に
普通はやせてくれない仕事を
やらせてもらえたのも、
当時の料理長が
気に入ってくれたからですし。


独立できたのも、
リーマンショックの前だったのと、
審査にあたった国民金融公庫の人が、
担保なしの24歳の若造に
融資を許可してくれたからですし。


あと周囲の人や環境以外にも、
その人が持って生まれた才能も
関係するでしょうし。



ただ僕は努力をする事が、
それほど意味がないと言っているのではなくて、
1日1.25ドルで暮らす「極度の貧困」は約12億人もいて、
これは先進国など物価の高い国の貧困層を入れると
最低でも30億人以上になるみたいなので、
人類の半分ぐらいは「努力をやめる=死」な訳で。


そう思うと、
多少個人差はあれど努力することは
人類的には当たり前の事で、
努力するかしないかと
選択できる人は
かなり幸運なんだと思うのです。



よくよく考えると、
当たり前の事に気がついたのですが、
僕にとっては目からウロコで、
良いメッセージをもらえたと感じました。



堺市泉北のフランス料理店 カウンターフレンチ レストランマヴィ