『トライガン』の作者が贈る、血沸き肉踊る伝奇アクション漫画ひらめき電球



『血界戦線』内藤泰弘



かつてニューヨークと呼ばれた街は、たった一晩で消失した―


一夜にして構築された、霧けぶる都市“ヘルサレムズ・ロット”

空想上の産物として描かれていた“異世界”を現実に繋げている街

その全体像は、未だ人知の及ばぬ向こう側であり、霧の深淵を見る事は叶わない
人では起こしえない奇跡を実現するこの場所は、今後千年の覇権を握る場所とも例えられ、様々な思惑を持つ者達が跳梁跋扈する街となる―


そんな世界の均衡を保つ為に暗躍する組織があった

その名は“秘密結社・ライブラ”

その全体像は全く掴めておらず、もしひとたび正確な情報が流れれば、闇の世界から億の買値すら付くという―


少年・レオは、ふとしたきっかけからライブラの一員となり

ブレングリード流血闘術の使い手、ライブラのリーダー・クラウスや、剣術・斗流血法を使いこなす陽気なチンピラ・ザップ、不可視の人狼、美女・チェインら、ひと癖もふた癖もある連中と共に、異界の住人と奇怪な現象が織り成す様々な事件に立ち向かうことになる―




“ようこそ、君が新しい同志か
歓迎しよう、クラウス・V・ラインヘルツだ”



“そこに理由がないのがこの男なのよ
強いて言えば貴方が「そこに」「いた」のが理由ね
いつまで経っても利口にならないわ
私達のボスは”



“弾?バカそんなものは当たると思った奴から当たってくのよ”



“光に向かって一歩でも進もうとしている限り
人間の魂が真に敗北する事など断じて無い
征け!!
手始めに世界を救うのだ”


“あぁ!?
無理もゲリも無え!!
やるorダイor…デスだ!!

…後ろ2つは同じじゃねえのか?”



“クラウス・V・ラインヘルツ
私達の最強のリーダーで無類の紳士
獣のごとき生命力で武装した凶悪なまでの頑固者よ”


“赦し給え 憎み給え 諦め給え
人界を護るために行う我が蛮行を

貴公を「密封」する
ブレングリード流血闘術
999式久遠棺封縛獄!!”







本作のコンセプトは「技名を叫んでから殴る漫画」

前作『トライガン』から引き継がれる、相変わらず全開の内藤ワールドは、男心を刺激しまくる造形の武器やアメコミばりの濃いキャラクター、ド派手なアクション満載腹一杯


バトルのかっこよさ、切なさ、笑いのバランスが絶妙であり、軽妙な掛け合いや非凡な台詞の数々は、前作より肩の力の抜け加減が丁度良く

作者の言うところの“B級を念入りに煮しめ”た感が噛めば噛むほど味が出て、ツボにハマる人には堪らない至極の娯楽作品


限りなく非日常な世界において、それぞれがブレない自分の日常のスタンスで、鼻唄まじりに世界を救う

トンデモ痛快日常B級伝奇アクション漫画をぜひ得意げ



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